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【W杯コラム】不安な王国攻撃陣

[2014年07月05日 11:51]

 ブラジルが準々決勝でコロンビアとの南米対決を2―1で制し、優勝した2002年日韓大会以来となる準決勝進出を果たした。前半7分にCKからセンターバックのチアゴシウバが押し込み、後半24分には同じセンターバックのダビドルイスがFKを直接決めた。コロンビアの反撃は、同35分のロドリゲスのPKによる1点に終わった。

 同じ背番号10、同じ22歳というブラジル・ネイマール、コロンビア・ロドリゲスというエース対決が注目された試合。両選手とも球際で厳しいチェックを受けた。ネイマールは背後からスニガのチャレンジを受けて、後半43分に担架で退場。ロドリゲスも、フェルナンジーニョとマイコンが反則覚悟の激しいプレーで対応した。

 印象に残ったのは、コロンビアの22歳の方だった。厳しいチェックにもひるまず、2点をリードされた後も劣勢を覆そうと奮闘し続けた。PKにつながった反則も、彼のスルーパスが起点。試合ごとにエースの自覚と風格が備わってきた感があり、今後がますます楽しみだ。

 一方、心配なのはブラジルの攻撃だ。1次リーグこそネイマールが4得点と期待に応えたが、PK戦にもつれ込んだ決勝トーナメント1回戦のチリ戦はダビドルイスがCKから決めたゴールのみ。両センターバックの働き、しかもセットプレー頼みの得点で辛くも勝ち抜いているとなれば、チアゴシウバが警告累積で出場できない準決勝のドイツ戦はさらに不安が募る。

 折しもコロンビア戦当日、フォーリャ・ジ・サンパウロ紙(電子版)は今大会のブラジル選手についての調査結果を掲載。最も悪い選手のトップは、回答者の21%が挙げたFWフレジで、2位もFWフッキ(9%)だった。フレジは昨年のコンフェデレーションズカップで最多タイの5得点を記録し、ブラジルのセンターフォワード問題が解決したかに見えた。だが、今大会は1次リーグのカメルーン戦で挙げた1点のみ。攻撃サッカーを誇る「サッカー王国」のFWが活躍できなければ、風当たりが強まるのも当然だろう。

 ネイマールはその後、脊椎骨折であることが判明し、残り試合の出場が絶望的に。攻守の軸を欠くブラジルにとって、スピードもタフさもある欧州きっての強豪が待ち構える準決勝は文字通り、正念場となる。

 石川あきらのプロフィル
 サッカージャーナリスト。1956年、東京都生まれ。慶応大学卒。「サッカーダイジェスト」の編集に携わり、編集長を務める。ワールドカップは1982年スペイン大会から取材を続け今回が9回目。

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