前回王者のスペインに続き、ポルトガルも0―4で大敗。前評判の高かったイベリア半島の2強国が、思わぬ形のスタートを切った。
G組屈指の好カード。ポルトガルとドイツの試合は、ドイツの充実ぶりが際立つ一戦になった。
4年前の南アフリカ大会は、若いメンバーで挑み3位の好成績。そのタレントたちが経験を積み、ドイツは開催国ブラジルとともに今大会の優勝候補に名が挙がっている。強いチームというのは隙がない。そして効率よく点を取る。
先制点となった前半12分のミュラーのPKは南ア大会後に加わった新たな才能、ゲッツェのドリブル突破から。前半32分の2点目もクロースの右CKからフンメルスがヘディングで決めたもの。難しいことをしなくても、点差を広げられるのは勝ち上がるチームの王道。どんなに手の込んだゴールでも1点は1点ということを忘れてはならない。
試合は前半37分にDFペペが一発退場となった時点で決した感がある。そのポルトガルにとって、敗戦以上に痛かったのは、H・アルメイダ、コエントランが相次いで負傷退場したことだろう。出場停止になるペペも含めて次戦では主力3人がおそらく使えなくなることを考えれば、いくら強豪とはいえ1次リーグ突破に暗雲が垂れ込めたといえるだろう。
これはまだ決定した訳ではないが、ポルトガルのエース、ロナルドもあのジンクスにはまるのだろうか。それは、W杯では前年の世界年間最優秀選手「FIFAバロンドール」を受賞した選手は活躍できない―。2006年大会のロナウジーニョ(ブラジル)、10年大会のメッシ(アルゼンチン)は持てる才能の片りんさえ見せずに大会を後にした。スーパースターの欠けたW杯はつまらなくなるのだが。
一方のドイツもセンターバックのフンメルスが負傷交代したが、このチームはDFラインを構成する4人ともがセンターバックの選手。一人欠けてもまったく問題がない。その意味で戦力が欠けたとはいえ、ポルトガルと違って戦力は落ちない。それを考えると、「ドイツ強し」は多少のことでは揺るがないだろう。
岩崎龍一[いわさき・りゅういち]のプロフィル
サッカージャーナリスト。1960年青森県八戸市生まれ。明治大学卒。サッカー専門誌記者を経てフリーに。新聞、雑誌等で原稿を執筆。ワールドカップの現地取材はブラジル大会で6大会連続となる。
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