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【W杯コラム】これが日本の実力

[2014年06月25日 11:48]

 多くの日本人が抱いていた夢は、妄想だったのだろう。

 たとえ数人の選手が、欧州のビッグクラブに所属するようになっても、ピッチに立つ11人すべてがサッカーを理解していなければ、W杯では戦えない。日本の選手は急速に成長している。とは言え、それはボールを扱う技術であったり、1対1であったりといった局面にとどまっている。残念なことだが、90分間を通して、ゲームの流れをオーガナイズする能力を身につけているとはまだ言えないのが現実だ。

 ギリシャ対コートジボワールの結果次第ではあるが、コロンビアに勝てば決勝トーナメント進出の可能性が出てくる。好都合なことに、すでに突破を決めているコロンビアは、控え選手でメンバーを組んできた。しかし、その好条件を日本は生かせなかった。結論からいうと、これが実力だったのだろう。

 前半は、ロスタイムに決めた岡崎慎司の同点ゴールで1―1。悲観的になる展開ではなかった。ただ、ここで日本とコロンビアとの間に、決定的な差があったとすれば「切り札」の差だろう。日本はベンチに試合を動かせる選手を持たず、主力を温存させたコロンビアには当然のごとく大きな武器が控えていた。

 それが、後半から投入されたコロンビアの10番ロドリゲス。フランス1部リーグの名門・モナコに所属する若者は、実にサッカーを熟知している。「日本が攻めに出れば、その裏を突けばいい」ことを―。残念ながら、本田圭佑にも香川真司にもない老獪さを、この22歳は身に着けていた。そして結果は、後半の全得点に関わる1得点2アシストの活躍で、わずかな望みに懸けていた日本にとどめを刺した。

 日本代表に関していえば、1次リーグの3戦を通してこの試合が一番戦ったことは間違いない。それでも、かつて見た良いイメージには程遠かった。これは相手との力関係で変わってくることだから仕方がないことだが。

 試合終了後、電光掲示板に映し出された「ギリシャ 2―1 コートジボワール」の文字。それを見ても、惜しかったと思えないほどの完敗だった。

 岩崎龍一[いわさき・りゅういち]のプロフィル
 サッカージャーナリスト。1960年青森県八戸市生まれ。明治大学卒。サッカー専門誌記者を経てフリーに。新聞、雑誌等で原稿を執筆。ワールドカップの現地取材はブラジル大会で6大会連続となる。

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