ななみの新聞ななみ読み

卒業、「当たり前」を手放す

[2014年03月26日 11:11]

 「卒業」。その言葉が新聞やテレビであふれている3月。思い出の詰まった学びやを旅立つ人もいれば、大切な仲間との別れを惜しむ人もいる。学校だけにとどまらず、この時季は新しい何かを迎え入れるために、今まで当たり前だった何かを手放さなければいけなくなる。私が最後に何かを卒業したのはいつだろう。
 高校生活を送っていない私は中学の卒業式にとても思い出がある。どこの中学校も卒業1カ月前から始まる卒業式の練習に、私はなかなか顔を出せずにいた。今までまともに授業に出なかったのに卒業式には顔を出すだなんて、なんだかずうずうしくて嫌だったからだ。だが結局、卒業式の3日前には少しの反抗心を紺色のセーラー服に隠しながら授与式の練習にちょこんと出席していた。
 久しぶりに見る同級生たちが次々に呼ばれ壇上に上がって行く中、「みんなマネキンみたいに言うことを聞いて動いている。つまらない」と考え事をしていた。卒業式当日もなかなか進まない足取りを何とか動かし、二度と歩くことのない通学路を歩き出席した。
 だが、別れというのはとても不思議だ。1時間前には大きなあくびをしていた私が、1時間後には涙をボロボロこぼし声をからしながら校歌を歌っていた。
 あの頃の私は何かにつけ、ただの強がりな普通の女の子だったんだろう。3年間ためてきた涙や悔しさやむなしさや孤独から卒業できてよかったと本当に思った。
 そして今年の私は何から卒業でき、また何に入学するのか、とても楽しみに春を待っている。
 (シンガー・ソングライター)

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