東日本大震災(県内関係)

大震災被害、進まぬ復興 中津で報告会

[2013年06月23日 11:35]

現地の様子を語る矢部亨さん(右)と川嶌理事長=中津市の川嶌整形外科病院

 「2年3カ月たつが、復興は思うように進んでいない。どうか今後も私たちに心を傾けてほしい」。21日、中津市の川嶌整形外科病院(川嶌真人理事長)で開かれた「塩釜復興支援イン中津」。宮城県塩釜市の商店街で、再開発準備組合の副理事長を務める矢部亨さん(45)が訴えた。

 矢部さんは東日本大震災当時、東京で難を逃れたものの、多くの知人を亡くした。「自分の命をどう使えるのか、この町を次の世代に渡していけるのか、真剣に考えた」と振り返る。
 地権者主体の再開発としては最も進んでいるが、1.2ヘクタールに地権者57人がいる。「事情の違う一人一人と向き合い、心を合わせる作業を続けている。答えはなかなか見つからない」と言う。
 更地の中で商売(茶舗)を続けており、以前の姿に戻るには少なくとも2、3年かかるという。「町を愛していても、仕事がなければ人が出ていく。そうさせないために歯を食いしばっている」とも。
 放射能を恐れず灯油を運んでくれた県外の友人や、支援を続ける中津の関係者らに感謝し、被災経験を踏まえて「日頃から人との触れ合いを大切にしてほしい」と強調。「もし津波が来たらまず逃げて。中津が被災したら東北の仲間を連れて支援に来ます」と誓った。
 この報告会は、川嶌理事長が現地で出会った矢部さんを招いて開催。病院職員ら約100人が耳を傾けた。川嶌理事長は「復興は想像以上に進んでいない。震災を風化させず、支援の継続が必要」と訴えている。

きょう支援物産展
 23日には、市内のスーパー細川万田店で支援企画「大塩釜物産展」も開催される。午前11時からはチャリティー演奏会がある。問い合わせは同店(TEL0979-24-5366)。

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