C組シードのコロンビアが、優勝争いのダークホースとも目される力を見せつけ、ギリシャに3-0と快勝した。ギリシャは攻めにスピードがなく、過去2度の出場と同様、無得点での黒星スタートとなった。
コロンビアにとっては、新しいスターのお披露目ともなった。背番号10を付けて攻撃を操った22歳のMFロドリゲスだ。開始早々の5分には右からの折り返しをスルーして、アルメロの先制点を演出。後半13分には彼が蹴った右CKからグティエレスの2点目が生まれ、同アディショナルタイムには自らダメ押し点を決めてW杯デビューに花を添えた。この試合のMVPにも選ばれ、「第一にチームが勝ったこと、次に得点できたことがうれしい」と、両チームの先発22人中最年少らしく謙虚に話した。
2011年の代表デビュー当時から「バルデラマの後継者」の呼び声が高かった。金髪アフロヘアの大先輩とは容姿だけでなく、プレーぶりも異なるが、司令塔としてのスタイルを確立している点は同じ。1990年代のコロンビアを代表するMFだったバルデラマは、インサイドキック中心のち密なパスを持ち味に攻撃を操った。ロドリゲスは利き足の左足に自信を持ち、ドリブル、ロングパス、シュートなど、多彩でダイナミックだ。
2007年には17歳以下のW杯でプレーしている。やはり同大会に出場した日本の柿谷、斎藤と同世代というわけだ。「この調子で勝ち続けたい」と意気込みを語った若き司令塔が今後も存在感を発揮すれば、コロンビアは過去最高の16強(1990年)をしのぐ可能性も増すだろう。同じ左利きでトップ下ということから、日本との第3戦では本田との力比べも楽しみだ。
堅守速攻が持ち味のはずだったギリシャは、攻めに速さがなく、スピードや俊敏な動きへの対応に難があるといわれたジェペスらのコロンビアDF陣を楽にした。前線で素早く動き出しても、判断の遅れでパスが出せない場面も目に付いた。次戦で顔を合わせる日本は、スピーディーなパスワークで押し込むことができるだろう。
ただし、1次リーグ突破に勝ち点3が欲しい状況となったところは油断ができない。コロンビア戦は完敗ながら「ポジティブな点もあった」とサントス監督。サマラスのドリブル、右サイドで背後を狙うサルピンギディス、トロシディスのプレーは要注意だろう。
石川あきらのプロフィル
サッカージャーナリスト。1956年、東京都生まれ。慶応大学卒。「サッカーダイジェスト」の編集に携わり、編集長を務める。ワールドカップは1982年スペイン大会から取材を続け今回が9回目。
※無断転載を禁じます。 当ホームページに掲載の記事、写真等の著作権は大分合同新聞社または、情報提供した各新聞社に帰属します。