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【W杯コラム】体力差縮まり苦戦

[2014年07月01日 13:14]

 ドイツが延長戦の末にアルジェリアを2―1で振り切り、西ドイツとしての出場だった1954年スイス大会以来、16大会連続の8強入りを果たした。

 ドイツにとっては「ホーム」のはずだった。試合会場のポルトアレグレがあるリオグランデドスル州は、ドイツからの移民が多い土地。ポルトアレグレはブラジルで最も欧州的な雰囲気を漂わせる都市といわれる。この日の気温も14度。試合時の気温が25度以上の北部や北東部で1次リーグ3試合を戦った後だけに、ラーム主将も「寒さが良かったと言えたらいいね」と、前日の記者会見で語っていた。

 ところが、寒かったのはドイツの試合内容だった。特に前半はアルジェリアのプレスにミスを連発し、カウンターアタックでピンチを招いた。GKノイアーの素早く的確な飛び出しに救われる場面も目立った。後半に入って落ち着きを取り戻し、アルジェリアの選手が「体力的にきつかった」と振り返った延長前半2分にシュルレがようやく均衡を破ると、同後半15分にエジルが決定的な2点目を蹴り込んだ。

 球の保持率は7割、シュート数でも29対11と大きく上回ったものの、優勝候補としては不満の残る内容。それは「あれほどたくましいチームはあまりない」(レーウ監督)というアルジェリアに、体力的な優位性が発揮できなかったこともあるだろう。球さばきも不安定なため、アルジェリアはスペースを狭めてミスを誘い、サイドチェンジやカウンターアタックにつなげた。

 ドイツはスピードや素早いパスワーク、空中戦の強さなどで優位に立ちたいのだろうが、堅固な守備ブロックを築き、捨て身で粘り強くマークする相手を巧みにかわす柔軟さは伝統的に持ち合わせていない。W杯では、82年大会でアルジェリアに1―2と敗れたほか、70年大会はモロッコに辛うじて2―1の逆転勝ち、78年大会はチュニジアに0―0、86年大会はモロッコに後半43分の得点で1―0の辛勝など、北アフリカ勢には苦戦続きだ。

 とはいえ、格下には苦戦しながら、しっかりと結果を出すのもドイツの伝統だ。準々決勝の相手はフランス。「フランスのようにプレーする」(レーウ監督)アルジェリアより、真っ向勝負を挑んでくる「本家」の方が戦いやすいのではないだろうか。

 石川あきらのプロフィル
 サッカージャーナリスト。1956年、東京都生まれ。慶応大学卒。「サッカーダイジェスト」の編集に携わり、編集長を務める。ワールドカップは1982年スペイン大会から取材を続け今回が9回目。

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