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【W杯コラム】最終章の幕開け

[2014年06月14日 11:55]

 日本人記者より海外のメディアが、より多くの質問をする。その内容には、ちょっと的外れな感もあるが。

 W杯などの国際大会で見られる試合前日の公式記者会見。日本人記者がすでに十分承知していることが、新たに外国人記者の間から質問される。日本人記者にとって有意義な答えはほとんどない。ただ、これは大切な試合に臨む前の儀式だと思えば、必然的に心が高ぶってくるものがある。

 レシフェでのコートジボワール戦を前に、スタジアム内で行われた公式記者会見。日本チームから登壇したのは、ザッケローニ監督とキャプテンの長谷部誠だった。当然、試合前日に自らの手の打ちを明かすはずはない。指揮官のコメントは、あくまでも儀礼的なものだった。ただ、4年の歳月を経て、確実に伝わってきたものがあった。ザッケローニ監督の、自らのチームに対する信頼感だ。

 「このチームは前のW杯でベスト16だった。その4年前より成長している」

 確かに今回の大会で前回大会の成績を越えられるかは、勝負をしてみなければ分からない。ただ、これは実現不可能なのだが、南アフリカ大会とブラジル大会の日本代表が戦ったら、今回のチームが確実に強いのは、誰の目にも明らかだ。

 相手の特長を消して我慢に徹するサッカーと、自ら主導権を持って試合の流れを組み立てていくサッカー。どちらが優れているとはいえない。しかし、それは成績としての結果のいかんに関わらず、成長と呼べるのではないだろうか。

 そのザッケローニが4年の歳月をかけて作り上げた攻撃サッカーの最終章が、明日幕を開ける。W杯出場5回目にして、初めて日本人が目にする自らが流れを支配するサッカーだ。4年前、およそ想像もつかなかったことを、守備の国といわれるイタリア人監督は見事に作り上げた。いまはただ、ザッケローニ監督とサムライブルーの選手たちが、人より少しだけの幸運を持っていることを祈っている。

 岩崎龍一[いわさき・りゅういち]のプロフィル
 サッカージャーナリスト。1960年青森県八戸市生まれ。明治大学卒。サッカー専門誌記者を経てフリーに。新聞、雑誌等で原稿を執筆。ワールドカップの現地取材はブラジル大会で6大会連続となる。

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