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【W杯コラム】母国の前途は多難

[2014年06月25日 11:13]

 すでに2連勝で1次リーグD組突破を決めていたコスタリカが、2連敗で敗退が確定したイングランドと0-0で引き分けた。この結果、コスタリカが同組1位となり、ようやく今大会初の勝ち点を獲得したイングランドは、W杯1次リーグで初の最下位に終わった。
 イングランドにとっては「サッカーの母国」というプライドを懸けた戦い、未来への希望を見いだしたい一戦だった。第2戦のウルグアイ戦に続く先発出場はFWスタリッジ、DFケーヒルのみで、期待の22歳、ウィルシャーのほか、18歳のショーら今大会初出場となる5人を起用した。若い選手たちを思い切って23人のメンバーに加えたホジソン監督の、「彼らはこれからの2年でもっと良くなり、強くなる」という期待の表れと言えた。
 しかし、世界屈指のレベルを誇るプレミアリーグで輝く彼らも、母国のプライドを取り戻すには、まだ荷が重すぎたようだ。ウィルシャーは才能の片りんを見せた。前へ仕掛ける勇気を持ち、好パスで得点機も演出した。それでも1990年イタリア大会でW杯にデビューしたガスコイン(当時23歳)、98年フランス大会でオーウェン(同18歳)が見せた威厳あふれるプレー、驚くような切れ味とは比べるべくもなかった。右サイドバックの22歳、ジョーンズに至っては、度重なる初歩的なミスにスタンドはブーイングとため息に包まれた。
 プレミアリーグの隆盛に伴う外国籍選手の流入によって、自国選手の活躍の場が縮小しているといわれるイングランド。ホジソン監督はイングランド・サッカー協会(FA)のバックアップも受けて、「(監督)続投にふさわしいと信じている」と強気に話す。だが、選手の小粒化は否定できず、フランスで2年後に開催される欧州選手権に向けては厳しい道が続きそうだ。
 ところで、この試合後の記者会見。コスタリカのピント監督に対し、決勝トーナメント1回戦の対戦相手についての質問が飛んだ。「コロンビアでも、あるいはコートジボワール、ギリシャでも戦う準備はできている」。彼の3度にわたったこの応答で、ついに日本の名前は出てこなかった。日本戦が終了した今、その悔しさが脱力感に。一つのW杯が終わった。
 
石川あきらのプロフィル
 サッカージャーナリスト。1956年、東京都生まれ。慶応大学卒。「サッカーダイジェスト」の編集に携わり、編集長を務める。ワールドカップは1982年スペイン大会から取材を続け今回が9回目。

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