フランスがエクアドルと0-0で引き分け、2勝1分けで1次リーグE組首位が確定した。エクアドルは1勝1分け1敗で3位に終わり、南米勢6チーム中唯一の敗退となった。
フランスは余裕の引き分けだった。まだ1次リーグ突破が決まっていない状況とはいえ、2連勝と好調で、得失点差でもライバルにかなりの差をつけていた。大差で負けなければ、突破は確実だった。カバイの警告累積による出場停止もあり、第2戦のスイス戦(5-2の勝利)と同じ先発出場はGKロリスやベンゼマなど5人。それでも国際サッカー連盟(FIFA)公式サイトによれば、ボール保持率で6対4、シュート数も20-11と圧倒した。「全員が目標を共有し、大きなことを成し遂げる力を持っていると感じている」とシソコが話すように、自信たっぷりにエクアドルを押し込んだ。
攻撃ではさまざまなバリエーションを見せた。前半は素早いパスワークから左はディニュ、右はシソコにつなぎ、サイドからの攻略を図った。後半には中央でのパス交換から、たびたび決定機をつくった。
ただし、初戦のホンジュラス戦(3-0の勝利)で20本、スイス戦で22本のシュートを放って快勝したことを考えると、決定力に一抹の不安が残る。再三のセーブが目立ったエクアドルGKドミンゲスが、この試合の最優秀選手に選ばれたものの、実際には今大会3得点と活躍のベンゼマらのシュートはほとんど彼の正面に飛んだ。
得点が生まれなくても「チャンスは多くつくったから心配はしていない」と言う監督もいる。フランスの場合は、メンバーを大幅に変えたことが原因なのか。再びベスト布陣で臨むことが予想される決勝トーナメントの戦いが注目される。
エクアドルは、初戦のスイス戦の逆転負け(1-2)が痛かった。実質的に2位を争うスイスが最終戦でホンジュラスを破る可能性が高く、勝利が何としても欲しいフランス戦は「決勝のような試合」(ノボア)。守備のブロックを築き、最前線にE・バレンシアを置いて、やはり今大会3得点の決定力に懸けたが、サポートが薄く孤立した。持ち味のサイド攻撃を担う存在として期待されたA・バレンシアの退場処分も誤算。終盤に思い切った攻撃に出たが、時すでに遅かった。
石川あきらのプロフィル
サッカージャーナリスト。1956年、東京都生まれ。慶応大学卒。「サッカーダイジェスト」の編集に携わり、編集長を務める。ワールドカップは1982年スペイン大会から取材を続け今回が9回目。
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