華やかな色彩や音、踊りに彩られ、ソチ五輪が開幕した。五輪公園内にあるフィシュト五輪スタジアムで、冬季史上最多の87カ国・地域と個人資格で参加のインドを加えた選手団が入場行進した。
2018年ワールドカップ・サッカーの舞台ともなる会場で引き続き式は進行。基本的にはフィールド部分をスクリーンに見立てて、プロジェクターをふんだんに使って映像を投影しロシアの自然や歴史、文化を紹介してゆく筋立て。08年北京夏季大会や2年前のロンドン夏季大会で演出家たちが工夫を凝らした最新技術を駆使する手法の延長線上にあった印象は否めなかった。
ただ世界に誇るボリショイ・バレエのメンバーらによる華麗な舞いなどからは、さすがと感じさせるロシアの香りが強く漂ってきたような気がする。
チェルニシェンコ組織委員会会長が再三万雷の拍手を浴びながらあいさつ。続いて国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長がスピーチし、選手たちに「あなたたちは五輪の夢とともにここに来ている。IOCはあなたたちの五輪の夢を実現したい。そのためにわれわれはスポーツの世界的発展のため収益のほとんどを投資しているのです」と呼び掛け、薬物使用の禁止などを訴えかけた。会長に就任して初めての五輪、しかもテロの脅威やIOC自身の改革など内外に難問が山積している事態を反映してかやや長めの内容に映った。
4年前のバンクーバー大会では開会式の朝、リュージュの公式練習で選手が死亡する事故が発生。ロゲ前会長は式直前に涙ながらの記者会見をして、早々に打ち切っていた。この日はセレモニーの途中で、ウクライナの空港を飛び立った旅客機が「ソチに向かうように」と乗客に要求されイスタンブール空港に緊急着陸した、とのAP電が世界を駆け巡っていた。この情報はバッハ会長のもとにも届いていたのだろうか。
クライマックスの聖火点火。会場入りしてからテニス女子のシャラポワ、陸上女子のイシンバエワら豪華メンバーが小刻みリレー。最後はアイスホッケー男子のトレチャク、フィギュアスケート女子のロドニナとともに3度の優勝経験を持つ二人が締めくくったものの、会場の外にある聖火台までの距離が長すぎていささか間延びしたフィナーレとなってしまった。
ともあれ開会式はつつがなく終了、8日からいよいよ戦いは本格化する。フリースタイルスキー女子モーグルの上村愛子(北野建設)は5度目の挑戦で悲願のメダルに手が届くか。
(47NEWS 岡本彰)
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