全国・海外ニュース/ スポーツ

ホワイト欠場、主役不在で肩透かし

[2014年02月06日 19:28]

 ソチ冬季五輪は6日、開会式(7日=日本時間8日午前1時から)に先だって新種目のスノーボード・スロープスタイル(SS)予選で競技が始まった。17歳の角野友基(日産X―TRAIL)が日本選手のトップを切って出場したが1組の13位にとどまり、決勝進出は決まらなかった。
 今大会、4競技で12種目が新たに採用された。SSは障害物の上を滑り、ジャンプ台から飛び出して大技を競う。米国での高額賞金大会「冬季Xゲーム」で高い人気を誇り、五輪での実施となれば、テレビの画面を通して、その迫力が世界中に広がるはず。五輪デビューにふさわしく、スノーボード界のスーパースター、ショーン・ホワイト(米国)が出場して花を添えるはずだった。
 ところが、である。「晴れ舞台」の主役になるはずのホワイト本人が、競技前日になって「肩透かし」を食らわせたのだ。世界のメディアが注目する記者会見でハーフパイプ(HP)との2冠獲得に意欲を示しながら、数時間後にはSSの欠場を表明。「スター不在」で注目度は一気にしぼんでしまった。
 「心変わり」の理由は何だったのか。ジャンプ台の大きさなど、コースの危険性が指摘され、メダル有望選手も練習で大けがを負った。ホワイトは「チームのために、3連覇がかかるHPに集中することにした」と、交流サイトのフェイスブックで説明した。米国選手団の一員として、故障のリスクを回避したと言いたいのだろう。
 スノーボードは1998年長野冬季五輪から始まった。3連覇すれば、スノーボードでは初めてになる。ノルディックスキー複合個人で72年札幌大会から3連勝したウルリヒ・ウェーリング(当時東ドイツ)らの偉大な記録に並ぶ。
 アクションをアピールするXゲームは「エクストリーム(極限を競う)ゲーム」に由来する。危険と隣り合わせのスポーツだからこそ、若者の支持を得ている。そのXゲームの王者が「安全」を選択した。大会前に足首や手首を痛めたこともあるだろう。五輪は賞金レースではない。うがった見方をすれば、歴史に名前を残す道を優先したともとれる。トレードマークだった長髪をばっさり切った。ホワイトは事業家のような、大人の判断をしたのだろう。
(共同通信社編集委員 原田寛)

☆原田寛(はらだ・ひろし)1956年秋田県生まれ。共同通信ではスキー、テニス、五輪などを取材。冬季五輪は1994年リレハンメルから2010年バンクーバーまで4大会を取材。運動部副部長、大阪運動部長を経て現在、編集委員。

スポーツ一覧

2月06日

2月05日

2月04日

2月03日

2月02日

2月01日

1月31日

1月30日

1月29日

1月28日

1月27日

1月26日

1月25日

1月24日

1月23日

1月22日

1月21日

1月20日

1月19日

1月18日

1月17日

1月16日

1月15日

1月14日

1月13日

1月12日

1月11日

1月10日

1月09日

1月08日

※無断転載を禁じます。 当ホームページに掲載の記事、写真等の著作権は大分合同新聞社または、情報提供した各新聞社に帰属します。
Copyright (c) 2008 OITA GODO SHIMBUNSHA