浪曲への応援歌を出版
「浪曲の新しい波が生まれつつある。実際に聴いてもっと魅力を知ってほしい」。落語や漫才に比べ注目されることが少ない話芸に、熱い思いを注いだ本が出版され、演芸ファンを喜ばせている。
出版社を昨春退職した長田衛さんが、四半世紀にわたり聴き続けてきた浪曲の魅力をまとめた「木馬亭よ、永遠なれ。」(創英社・三省堂書店)。
関東、関西の浪曲師37人へのインタビューと、日本で唯一の浪曲定席がある東京・浅草の木馬亭でのライブを日記風に伝えた文章の2部構成。
「30代後半、仕事で壁にぶつかって鬱屈を抱えていたころ、異空間のような木馬亭に出合い、そこで語られる人間ドラマに癒やされてきました」。浪曲とそれを支える人々への愛情が、軽妙な文章から伝わってくる。
浪曲師は全国で100人足らず。NHKのFMで週1回、浪曲を流すラジオ番組があるが、今では「浪花節」が浪曲の別の呼び名だと知らない人も多いという。だが、長田さんは「未来は決して暗くない」と言い切る。
「国本武春さんの活躍や、玉川奈々福さん、春野恵子さんら女性浪曲師の台頭で、明るいニュースが増えてきた。演題もスポーツなど幅広く取り上げるようになり、若いファンも来るようになった。人間をきちんと描いていく限り、伝統話芸がすたれることはないと信じています」
本は当初500部刊行、木馬亭などで販売したところ、たちまち売り切れ増刷となった。
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