お座敷盛り上げる92歳
昨年12月に宮薗節太夫、荻江節唄方として文化庁長官表彰を受けた浅草ゆう子さんは東京都内で最高齢の現役芸者。この2月4日で92歳になったが、磨き上げた芸とチャーミングな笑顔、人をそらさぬ話術は健在。今もお座敷遊びの楽しみを明るく盛り上げている。
「三味線弾いて、歌っていたら幸せ」というゆう子さん。東京・下町の生まれで、子供の頃から芸事が好きだった。母親が近所の人に教える端唄を聞き覚え、数え6歳の6月6日には坂東流の踊りの師匠に入門。小学校卒業後は芸者になると自ら決め、浅草の置き屋に住み込みで奉公した。
それから約80年の月日がたったが、外見も気持ちも驚くほど若々しい。「先のことはまず考えないね。のんきというか…」と軽く笑う。きっとそれが元気のもとだろう。散歩が好きで、朝ごはんは毎日決まって卵ご飯にのり。おそらくこれが健康と美容の源だ。
「100歳までは芸者をやるつもり」。さらりとそう言うが、もし耳が遠くなったらそうはいかないとも考えてはいる。
今、その心配はない。耳の良さは若い人以上だろう。会話の時もそうだが、三味線を持つとさらに感度が上がるようだ。じっくり音色を確かめ、調子を合わせ、そして最初の音を出す。そこに節が乗っていく。歌い終わった後の表情がなんともすてきだった。
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