布の両面が染まる日本独自の手染めの伝統技法、注染。その注染の手ぬぐい専門店「染めこうば にじゆら」が、東京・御徒町にオープンした。
「にじゆら」は2008年、大阪・堺の染め工場「ナカニ」の中尾雄二社長(56)が「注染の技術を未来に伝え残したい」とつくったブランドだ。
注染は、生地に型紙を当ててのりを置き、型がずれないように折り重ねる。これを繰り返した後、上から染料を注ぐと、のりのない部分が染まっていく。「思ったよりも職人技。新鮮でした」。店内で定期的に開催される実演デモを見学した30代の女性は驚いた様子でこう話す。
手作業のため、色ににじみやゆらぎが出る。大量生産の規格商品としては、発注元からは「色むら」と見られたことも。だが中尾さんは「それこそが注染の魅力。同じものは二つとない」。
店名の由来にした「にじみとゆらぎ」を持ち味に、伝統の和柄が多かった手ぬぐいの世界に現代的なデザインとポップで鮮やかな色彩で挑み、人気を得た。
大阪、京都、神戸にある三つの直営店のほか、ネット通販なども行っている。東京店は新柄も含めて常時約200種類が棚を彩り、店内に小型のデモ機を設置している。
中尾さんは「東京という場は情報の発信力が強い。注染の魅力を知ってもらい、地元である堺市の活性にもつなげたい」と話している。
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