泉岳寺「景観台無し」と猛反発
忠臣蔵の討ち入りにちなんだ今月14日の義士祭を前に、赤穂浪士たちが眠る泉岳寺(東京都港区高輪)の隣でマンション建設工事が進み、寺は「景観が台無し。文化財の価値をおとしめる」と猛反発している。
今年7月、都内の不動産会社が寺の中門南側の隣接地約400平方メートルに8階建て、高さ24メートルのマンションを建設する計画が明らかに。隣接地の個人住宅は一部所有権が4月に同社へ移っていた。完成すれば、境内にある浅野内匠頭や浪士らの墓所を見下ろす形となる。
寺は住民らと「国指定史跡・泉岳寺の歴史的文化財を守る会」を結成、計画変更を求める約1万人の署名を集めた。業者への指導を求めた請願は、10月に港区議会が全会一致で採択した。
しかし建築確認では法的に事前協議が必要な問題はないとして、区は計画変更を求めることができず、10月に基礎工事がスタート。寺は建築確認が実態に合っていないと、区建築審査会に異議申し立てを行っている。
事業主の不動産会社は「区が来年施行予定の高さ制限を先取りし、外観に配慮した。地元にも丁寧に説明している」として工事を進める構え。
泉岳寺の牟田賢明・受処主事は「墓所は世界遺産になり得る歴史的価値があり、海外からも多くの参拝客が訪れる。義士祭などを通じて、景観を守る署名を全国に呼び掛けたい」と話している。
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