ガード下の名画座が閉館へ
サラリーマンの街、東京・新橋で唯一の映画館が8月末、半世紀以上の歴史に幕を閉じる。耐震補強工事のため閉館することになったという。
劇場は1957年、JR新橋駅近くのガード下にオープン。居酒屋などが軒を連ねる一角にある。「新橋文化劇場」と「新橋ロマン劇場」に分かれ、それぞれ81席の小規模な名画座だ。電車の音が響く映画館として、映画ファンや近くに勤める会社員らに親しまれていた。
文化劇場は、洋画を中心に2本立てで上映。ハリウッドのアクションやサスペンスからチャプリン、フランソワ・トリュフォーの名作まで幅広く紹介してきた。
ロマン劇場は、日活ロマンポルノやピンク映画など成人向けの映画を上映。神代辰巳監督らの作品がラインアップに並んだ。8席の女性専用シートを設けている。4月に名脇役の俳優蟹江敬三さんが亡くなった直後には、追悼特集を組んだ。
31日までの最終週は、ロバート・デニーロ主演の「タクシードライバー」などがスクリーンに。「最後はこの劇場らしく男くさい映画で終わりにします」と副支配人の遠藤健介さん(36)。
大学生のころから40年近く通ったという巻島昭夫さん(63)は「昔は場内にたばこの煙が漂っていたのが懐かしい。電車の音がしても気にせず集中して見ていました。ここみたいに小さな映画館がなくなるのは残念」と惜しんだ。
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