テクニカラーの名作上映が盛況
往年の「総天然色」を代表するテクニカラーの外国映画の名作を、東京・京橋の東京国立近代美術館フィルムセンター(NFC)が、公開当時のプリントで特集上映している。12日まで。
原色がせり上がってくるような鮮やかな画面が特長のテクニカラーは、米国を中心に1930~50年代に全盛を極めたが、70年代にほぼついえた。貴重なオリジナルに触れる機会とあって、普段の2倍に設定された特別料金(一般千円)にもかかわらず会場は盛況だ。
上映作品はキャサリン・ヘプバーン主演「旅情」(4、12日)、ポール・ニューマン主演「ロイ・ビーン」(11日)、スティーブ・マックイーン主演「華麗なる週末」(8、12日)など。
NFCの大沢浄研究員によると、さまざまな変遷をたどったテクニカラー技術のうち、最も有名なのは3本の白黒フィルムで撮影する方式。赤、緑、青をそれぞれ感光する白黒ネガをもとに、その組み合わせで色を作っていくという「凝ったプロセス」だった。
NFCでは今回“白黒3本撮り”の作品として唯一、ジャン・ギャバン主演「フレンチ・カンカン」を上映(5日)。
50年代に取って代わるイーストマンカラーの画面は、やがて赤っぽく退色してしまったが、テクニカラーのプリントは今も色鮮やか。「保存の面でも優れていたことを、今回見ていただけます」と大沢研究員は話す。
テクニカラーの消長については、映画技術史研究家の三隅繁さんが近くNFCのニュースレターに解説を発表する。
※無断転載を禁じます。 当ホームページに掲載の記事、写真等の著作権は大分合同新聞社または、情報提供した各新聞社に帰属します。