18歳長谷垣さんが初単行本
古今東西の天才科学者を呼び出せる不思議なフラスコを手にしたヒロインが事件の謎を解く漫画「利根川りりかの実験室」の第1巻が、9日に発売される。18歳の少女漫画家、長谷垣なるみさんにとって初めての単行本で「全力で科学と漫画に向き合い続けた私の半年間が詰まっています」と語る。
「利根川―」は、小説「浜村渚の計算ノート」シリーズで知られる作家の青柳碧人さんが原作を担当。少女漫画誌「なかよし」で昨年7月号から連載がスタートし、家族と福島市内に住む長谷垣さんは1人で漫画を描き続けている。
青柳さんは「科学の現象だけでなく、発見のドラマや科学者の人間性の面白さも表現したい」と筋書きを作成。漫画を描く長谷垣さんは「自分なりに科学者を調べて、実験の手法などから性格を決めています。キャラクターを掘り下げていくのが難しい半面、創作の楽しいところです」。
ニュートンやライト兄弟から、酸性度の指標「pH」を考え出したセーレンセンといったあまり知られていない科学者たちまでが、少女漫画の世界で魅力的に描かれている。
半年間の連載をこなすうちに、技術とスピードも向上。さらに「人気作には、キャラクターそれぞれに名言や名シーンがあることに気づいたんです。読者への読ませ方を考えるようになりました」と新人らしからぬ頼もしさを見せる長谷垣さん。青柳さんは「落ち着いてるなあ。僕が18歳の時って、こんなんじゃなかったよなあ」と舌を巻くばかりだった。
講談社刊・637円。
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