道サポ 体験見学学習会

 道路メンテナンスの大切さを学ぶ「道サポ 体験見学学習会」(国土交通省大分河川国道事務所主催、大分県道路メンテナンス会議、大分合同新聞社共催)が10月26日、大分市の国道10号府内大橋などで開催され、約60人が参加しました。参加者は講演や保守点検体験を通じて、道路や橋を守るため市民一人一人ができる役割について学びました。


 体験会に先立ち、国交省九州地方整備局・大分河川国道事務所の稲田亮所長が「道路のメンテナンスを自分のことと考えてもらうきっかけにしてください」とあいさつ。続いて九州大学の日野伸一副学長が「九州における道路橋の維持管理の取り組み」と題して講演しました。

 山岳国家の日本では、橋やトンネルなど構造物が多くなります。構造物は造ったら未来永劫壊れないというわけではありません。風雨にさらされたり、車や通過したりすることで損傷します。中でも橋は最も損傷しやすい構造物です。その一番の原因が路面のひび割れ。そのまま放置しておくと舗装の下が砂利化したりして、舗装下のコンクリートの鉄筋がさびて穴が開いたり、倒壊する恐れがあります。
 日本には約70万の橋が架かっていますが、この多くが1965~85年に造られており、建造後50年以上たった橋が2012年時点で約16%あります。この割合は今後急速に拡大し、22年には約40%、32年には約65%と過半数が50年を超えると予想されていて、どんどん“高齢化”が進みます。
 橋も人間と同じで年を取れば“病気”が多くなります。アメリカでは実際に老朽化した橋の崩壊が起こりました。日本の橋は大半が自治体の管理で、専門人材不足からメンテナンスが行き届いていないのが現状です。財政面の制約もあり、古くなればすぐ造り代えるわけにいかず、今ある橋をできるだけ長く使うように早め早めの予防保全が必要です。同時に、人口減少社会の日本では、保全活動を担う人材として市民一人一人の協力が欠かせません。社会インフラは行政のものではなく市民のものであり、維持保全する義務があります。路面のひび割れや穴ぼこを見つけたら連絡をするように心掛けましょう。


 講演に続いては、大分河川国道事務所の濱上勲副所長から国土交通省の橋梁メンテナンスの取り組み状況についての説明がありました。5年に1度の橋梁定期点検が義務化され、健全性の診断、結果の記録、メンテナンスサイクルの大切さを話しました。


 講演後、府内大橋に移動して体験会が行われました。府内大橋は上り線が1960年建造の“54歳”、下り線は80年建造で“34歳”です。参加者は点検に使う器具や装備の説明を受けた後、高所作業車に乗って点検体験をしました。実際に点検ハンマーでたたいたりしました。内部が浮いている箇所は明らかに音が違って分かるそうです。目視のチェックポイントなども教えてもらい「みんなが通る橋だから、みんなで守る!」という意識と行動が大切だと学びました。同級生ら7人で参加した楊志館高校(大分市)の丹羽翼君と羽富亮太君(いずれも1年)は「府内大橋が上りと下りでできた年が違うとは知りませんでした。コンクリートはできたらずっと壊れないと思っていたけど、そうじゃないことが分かりました」などと話しました。


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