私たちの橋を良く見てみよう

 私たちの生活になくてはならない道路や橋、トンネルは、時間の経過とともに、劣化が起こります。定期的なメンテナンスで管理維持していく必要がありますが、重大な事故を防ぐためにも、壊れた箇所などを発見して通報したり、美化活動に協力したりと、私たち一人一人が果たせる役割も大きいのです。
 私たちの財産である道を守るサポーター「道サポ」への理解を広げようと、国土交通省大分河川国道事務所は10月26日、「道サポ体験見学学習会」を開催します。大分市の府内大橋で実際に点検を体験し、普段どんなメンテナンスをしているのかを専門家らが分かりやすく説明します。今回の特集では、当日体験見学に行く府内大橋について紹介します。


 大分川に架かる府内大橋は、東九州の重要幹線道路である国道10号の大改修に伴い、高度経済成長期の1960年に建設されました。建設中は田中橋と呼ばれていましたが、竣工(しゅんこう)当時の大分市長上田保さんが府内大橋と命名しました。長さ272㍍、幅8㍍。地盤が悪いことや、工事費を抑えるために、上部工をできるだけ軽量化して橋脚を少なくしようと、当時珍しかった高張力鋼(軽量鋼)を九州で初めて採用しています。


 その後、交通量が大幅に増えたことから拡張工事が行われ、80年、旧橋の下流側に並んで架ける形で、幅10・5㍍の新たな橋が完成しました。補修した旧橋を上り線、新橋を下り線として、上下2車線になり、併せて取り付け道路も上下2車線幅員25㍍に拡張されました。当時、人も車も激増していた市南西部と市中心部を結ぶ府内大橋では、県内最大という交通渋滞がネックとなっていましたが、これらの事業でかなり緩和され、通勤時間の短縮や沿線地域のさらなる発展に効果をもたらしました。


橋梁・トンネル建設後50年以上経過の割合 橋やトンネルは、国が定めた統一的な基準により、5年に1度近接目視による点検で健全度を診断した上で、計画的に修繕などの措置が行われています。この結果は取りまとめて“見える化”することになっています。この点検、診断、措置、記録のメンテナンスサイクルを確実にするために、橋やトンネルなどのほとんどを管理する地方公共団体への補助といった予算確保、関係者が連携するための体制構築や人材育成、技術開発などが始まっています。


 2010年の調査によると、府内大橋の1日の車の交通量は約5万3千台。新たな技術を活用したメンテナンスや、利用者も含めた日々の安全確認などの積み重ねによって、多くの県民の暮らしに密接に関わりながら開通から半世紀以上の歴史を紡いできました。身近な道や橋、トンネルが、これからも安全安心快適に利用できるよう、メンテナンスサイクルを持続的に回すとともに、私たち県民もできることから取り組んでみましょう。

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