私たちの知らなかった橋の秘密

大分は、橋王国!?

 大分県はトンネルの数が日本一多い県。その数は554もあります。実は橋も、トンネルと同じくらい数が多いのです。
珍しい橋もたくさんあります。一説によると、石橋の数は日本一だとか。8連アーチが美しい耶馬渓橋(中津市本耶馬渓町)は日本一長い石橋として知られています。宇佐市院内町の石橋群も、いろいろな形があって見ても楽しめます。
 石橋の他に、沈下橋も多く見られます。2004年に台風による増水で流された永世橋(杵築市杵築)は、国内最古の沈下橋ではないかといわれていました。今は、日本土木工業協会の調べで、同市山香町の龍頭(りゅうず)橋が最古と考えられています。
 その他にも、九州の近代土木遺産に認定され、今も多くの人が利用している(旧)明治橋(臼杵市野津町)など、県内には特徴的な橋がたくさんあるのです。

道路橋の劣化に与える影響

橋とは…

 橋は道路の一部で、自動車や歩行者を支える「上部構造」と、それらを支える下部構造で構成されています。使う材料によって木橋、石橋、鋼橋、コンクリート橋などに分けられます。鋼桁とコンクリート桁を組み合わせる混合橋もあります。形もさまざま。よく見掛ける桁橋の他に、明磧橋(大分市明磧)のように主構造にトラス(三角形を基本とする骨組み)を使ったトラス橋、別府明礬橋(別府市明礬)のようなアーチ橋、唄げんか大橋(佐伯市宇目町)のように塔から斜めに張ったケーブルで桁をつる斜張橋など、用途や地形に合わせていろいろな形式があります。

道路橋の劣化に与える影響

橋の現状

 全国には約70万の橋があり、このうち建設から50年以上たった橋の割合は18%です。この割合は10年後には43%に、20年後には67%に増えます。そこで心配になってくるのが劣化による事故。国内では既に、落橋や、腐食(さび)による部材の破断などの事故が発生しています。県内でも点検中に腐食が見つかった橋があります。大分市上戸次の筒井大橋はトラス部分の腐食が進んでいることが判明し、通行規制をしながら補修工事を実施しました。

橋を長く使うために

 橋は、“一度架けたらそのまま何もしなくていい”というものではありません。長く使っていくためには、定期的な点検により早期に損傷部分を発見し、事故や架け替えなど大規模な修繕が必要になる前に対策を講じていくことが大切です。私たちも健康のためには定期的な健康診断と早めの治療が欠かせませんが、橋も同じなのです。国土交通省は橋長2・0㍍以上の橋について、供用開始から2年以内に初回点検を行い、それ以降は5年に1回の頻度で定期点検しています。異常や損傷部分の発見はもちろん、劣化の程度を継続的に把握し、情報を蓄積していくことも重要な目的です。点検(診察)→検査(診断)→補修・補強(保全)→記録管理→点検のサイクルで維持管理を実施しています。

橋の維持管理

 点検は、高所作業車や点検車などで橋の部材に近づいて目視し、必要に応じて点検機器を使って行います。鋼部材の腐食や亀裂、コンクリートのひび割れ、路面の凹凸など26種類の損傷について確認し、その程度によって、部材ごとに監視や対策を実施するかどうか診断していきます。打音検査(表面をハンマーで軽くたたき、出た音の違いによって異常の有無を判断)なども定期的に実施し、コンクリート部材の一部が落下して人に被害を与えることを予防しています。点検で得られた情報は「全国道路橋データベースシステム」に登録されます。国が管理する、橋長2・0㍍以上の国内の橋の情報が登録されていて、そのデータを活用し、効率的な維持管理をしています。

今回紹介した5ヶ所の橋の場所はこちらです。

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