江渡浩一郎氏(産業技術総合研究所主任研究員)
大分ITネットワーク社会研究会の3月例会が24日、大分市のレンブラントホテル大分であり、産業技術総合研究所主任研究員の江渡浩一郎氏が「ニコニコ学会β(ベータ)にみるユーザーイノベーションの可能性~ユーザーから始まるイノベーション」と題し講演した。
江渡氏はインターネットサイト「ニコニコ動画」に「自分がつくりたいものをつくり、したい実験をする多くの“野生の研究者”が発表する場をつくりたい」と2011年、ニコニコ学会βを立ち上げた。
学会でネットユーザーが高価な半透明スクリーンの代用品として安価な網戸や農業用ポリエチレンフィルムを提案したことを例示。「道具を工夫し既存のものに少し手を加えるだけで、さまざまな知的活動を促すきっかけになる」と訴えた。
今後のネットとものづくりの関連性を「ネットの普及で情報の転送が容易になる。出力装置が3Dプリンターなどものづくりの装置になり、さまざまな種類の製品を個別につくれるようになる」と説明。「従来は企業の製品を個人が選ぶことしかできなかったが、個人のものづくりを企業が支えるという産業構造に逆転するのではないか」との見方を示した。
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