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世界を知り、深く考えるNIEのバックナンバー

大分市稙田東中1年3組

新聞を材料に作品理解

作品を再度読み直し、感想をまとめる生徒
記事を読んで分かったことをグループで共有し合う
鈴木惟真教諭

 文学作品を読む際、当時の時代背景や世界の現況などを知ることで作品への理解がより深まる。大分市稙田東中では1年3組の生徒28人が国語の授業で作品を読んだ後、世界や日本で起きていることを新聞記事から知り、あらためて作品を読み直し考える学習をした。

 作品は、俳優だけでなく絵本作家としても活躍した米倉斉加年の「大人になれなかった弟たちに……」。作中の言葉に込められた作者の思いを考えるための教材として、長く教科書に取り上げられている。

 作品では太平洋戦争で厳しい食糧事情の中、弟を栄養失調で亡くしたことをつづっている。戦争と食糧不足は遠い昔の話ではなく、世界で今も起きているのを知ることが、作品理解の助けになる―。鈴木惟真教諭は生徒に、紛争や自然災害などにより2018年、世界で約1億1千万人が飢餓に陥った―という国連機関の報告(大分合同新聞4月3日付夕刊8面)など複数の記事を、分担して読んでもらった。

 読んだ記事について分かったことをワークシートにまとめ、結果を班内で互いに発表。読まなかった記事の内容も把握した。鈴木教諭は、作品を再度読むように指示。「初めて読んだときと比べて、心が動いたところがどう変わったか、あらためて考えたことをまとめてください」と呼び掛けた。

 何人かが発言し「どんな光景かが実感できるようになり、題名がより印象に残った」「弟がよりかわいそうに感じた」などの意見が。「国と国とが協力し合い、世界を発展させられればいいのに」といった提言も出た。「最後に、一生懸命調べてそろえた材料を基に、皆さんの頑張りを書き残しましょう」と鈴木教諭。生徒は意見文をまとめ、一連の学習を終えた。 (宗岡博之)

生徒の感想

印象的だった、子を守る場面姫野楓介さん(12)

 物語を最初に読んだときは弟の死が印象に残ったが、記事を読んだ後はお母さんが子どもを守る場面が印象に残った。世界に今も食糧不足があることを知らなくて、記事を読んで勉強になった。

登場人物の気持ち伝わった工藤美聖さん(13)

 記事を読んで作品を読み直すことで、登場人物の気持ちを読み取ったり、なぜその表現を使っているのかが分かるようになった。世界で今、戦争が起きており、大変な思いをしている人がいる。人ごとではない。

戦争の残酷さ、悲惨さ感じた仲野麻音さん(12)

 物語を最初に読んだときから悲しさはあったけど、新聞で世界の飢餓のことを知り、驚いたしあらためて戦争の残酷さや悲惨さを感じた。最近は、台風19号被災地復興に頑張る地元の人たちの記事に関心がある。

記事を読んで、もっと詳しく北林宏志朗さん(12)

 世界の食糧不足について考えたことがなかったけど今も戦争中の国があるのかと思うとかわいそうな気がした。新聞記事を読むことで世界のことが詳しく分かり、教科書の作品を深く考えられたのは良かった。

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