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記事を探し広がる視野NIEのバックナンバー

豊後大野市緒方中学校旧1、2年

単語抜き出し俳句作り

どの言葉を黒塗りせずに残すか考える旧1年生
どの面にどんな記事が載っているか、新聞をめくってみる旧2年生
油布晃講師

 短歌、俳句、川柳などを通じて言葉の楽しさに親しむのも、中学校の国語学習の一つ。豊後大野市の緒方中学校では3月中旬に1、2年生計61人が、新聞から単語を抜き出して俳句を作り、使った単語以外を黒く塗りつぶす「クロヌリハイク」に取り組んだ。

 クロヌリハイクは松山市の黒田マキさん(俳号)が2013年に考案。俳句雑誌に作品を連載し続けている。昨年からコンテストも始め、全国規模で作品を募集した。

 油布晃非常勤講師(当時)が、楽しく学べる教材として取り入れた。新聞を読み慣れない生徒も多いため、俳句作りに入る前に見出し、リード文など新聞記事の構成や、どの面にどんな記事が載っているかなどを説明。

 「大事なことはリード文にほぼまとまっている。新聞って読むのにそんなに時間はかからないんですよ」と、気軽に新聞を開くよう呼び掛け。「目的の記事を探しているとき、ふと別の記事が目に入り、興味の対象が新しく増えることがある。こういう“寄り道”も新聞を広げる楽しさ」と、視野を広げる新聞の効果についても話した。

 桜について書いた大分合同新聞3月16日付朝刊1面のコラム「東西南北」や別の日の読者投稿欄、文芸欄など、季語をはじめとした俳句作りに使いやすい言葉が多く入った11の記事を、油布講師が準備。生徒は記事から言葉を選び、五七五に整えた。記事本文だけでなく、見出しや写真説明からも言葉を探して俳句作り。黒く塗りつぶす際にデザインに凝り、絵画のように仕上げた生徒もいた。

 使える言葉の制約がある中で、次々に句が出来上がった。1年生は「赤ちゃんの 出産シーズン 春きたり」「ありのまま 生きることなど すばらしい」「サンタさん 小さな瞳 思い出す」など、2年生は「桜から 出迎えてくれ 人生を」「春の訪れ 赤ちゃんルンルン 母の横」などをそれぞれ作った。

 最後に、作った句をクラス全員の前で披露。油布講師は「短歌や俳句などの会で作品を読み上げることを披講といいます。みんなの前でしっかり発表することも大事です」と、表現力を付ける大切さを強調した。 (宗岡博之)

生徒の感想

見出しやコラムに目を通したい羽田野明日香さん(14)

 句と同時に全体のデザインを考えるのが難しかったが、とても楽しかった。日頃はテレビを通じてニュースに接することが多かったが、これからは新聞も見出しやコラムに目を通したいと思った。

日本や世界の出来事が分かった鈴木結翔(ゆいと)さん(14)

 やっているうちにだんだん楽しくなり、最後は納得できる俳句ができてうれしかった。いろんな記事を読んでみて、日本や世界でいろんなことが起こっているのが分かった。機会を見つけて読んでみたい。

小説なども掲載されていて意外後藤寛幸さん(13)

 いろんな言葉を見つけるのが大変だった。新聞はいつも普通にお父さんが見てるけど、自分で見ることはあまりなく、小説とかも入っていて意外。他にもいろんな記事が載っていたので驚いた。

いろいろな分野の紙面があった安東美香さん(13)

 句を作っている最中にも、いいなと思う言葉が次々と出てきて逆に困った。新聞は普段はあまり見ないけど、経済面とかいろんな面があるのが分かった。難しい記事が多いけどすごいなあと思った。

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