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中津市東中津中学校旧2年生

被災地の新聞を切り抜き

福島の新聞を使って切り抜き新聞を作る旧2年生
作った切り抜き新聞を互いに発表し合う旧2年生
金丸光治教諭

 東日本大震災当時、小学1年生だった東中津中学校の旧2年生。当時の記憶が少ない生徒たちが▽知る▽考える▽情報や自分の考えを発信する―ことを目的に、社会の授業で被災地・福島県の新聞から気になった記事を切り貼りした「切り抜き新聞」を作った。

 ニュースや社会問題への関心を高めようと、社会科担当の金丸光治教諭が3月に企画。福島民報と福島民友の2紙を、昨年分を中心に使った。小幡記念図書館(中津市)が廃棄予定にしていた新聞を「何かに使えるかも」と同校の高橋頼子学校司書が譲り受け、保管していたのを利用した。

 福島県では今も多くのニュースが、震災復興と結び付けて報道されている。スポーツで地域を元気にする住民活動、学校の再開、漁業復興が進む中での漁業者の苦悩…など。

 生徒はそれぞれの“アンテナ”で興味ある記事を探し、切り抜いて台紙にレイアウト。記事から感じた自分の思いを「多くの人たちが希望ある未来に向かって復興に努力している」「7年たった今だからこそ、できることは何か?」「自分の今できることを一生懸命にする」など、貼った記事に添えて書き加えた。

 現地の医療の充実についてまとめた切り抜き新聞(写真)など、それぞれが関心に応じた紙面を作った。グループ内で発表会。友達の紙面に「いいね、自分と一緒だ、新たな発見があった、という場合は付箋を渡しましょう」と金丸教諭が促した。各紙面は多くの付箋で覆われ、意見も活発に交わされた。

 「新聞からいろんなことを学べたと思います。作品は多くの人に伝えていきます」と授業を締めくくった金丸教諭。切り抜き新聞は来週入学してくる新1年生にも学習成果を見てもらおうと、校内に掲示した。 (宗岡博之)

生徒の感想

教訓とし防災に生かさねば吉丸幹哲(ともあき)さん(14)

 福島の新聞は、被災した人たちを勇気づける記事が多い気がしたので、復興に向け頑張る人の記事を選んでみた。時間がたっても震災を忘れないよう、教訓として防災に生かさないといけないと思った。

できることを努力していく矢治ちさとさん(14)

 東日本大震災の時は小学1年生で何も知らなかったけど、今回いろんな記事を見て理解し、深く考えることができた。大きな災害で悲しいことが起きないよう、できることを努力していきたい。

日々の備えの大切さ伝える今井翔悟さん(14)

 津波の恐ろしさがよく分かっていなかったが、現地の新聞を見て被害とのつながりや、今も復興関連の記事が多い理由が分かった。日常生活での防災の備えの大切さを、きょうだいにも伝えたい。

あらためて恐ろしさ知った植松尚子さん(14)

 あらためて震災の恐ろしさを知り、自分たちが普通に暮らせているのは当たり前じゃないと思った。人を勇気づける音楽関係の記事を選んでみた。震災当時に生まれていなかった人にも大変さが伝わってほしい。

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