NIE

込められた思い読み取るNIEのバックナンバー

別府市鶴見小学校6年1組

学んだことがニュースに

記事を読み、キーワードに線を引く児童
新聞記事を探す6年生
稲尾聡文教諭

 水俣病など日本で過去に発生した公害病について、小学校では5年生の社会科で学ぶ。6年生を受け持つ稲尾聡文教諭が何げなく5月1日の大分合同新聞夕刊を読んでいたところ、水俣病の公式確認から61年を伝えた記事が1面にあった。

 教科書で覚えた言葉がニュースと結び付いていることを知ってほしい。水俣病という61年も前の出来事が、いまだに関連の訴訟が続いて今も終わっていないことにも思いをはせてほしい―。

 約1週間後の国語の授業で、6年生に新聞を実際に読んでもらうことに。6年1組の31人に新聞を配り「いろんな面をめくって、知っているニュースを見つけたら書き出してください」と問い掛けた。

 「水俣病の記事、あるやん!」という声がすぐに上がった。紙面をめくって他の記事も見つけ「クールビズ」「大相撲」「戦争」などを書き出す児童たち。広告欄のマグロの写真に「おいしそう」と注目する児童も。水俣病の記事の裏(2面)にあるハンセン病の関連記事も複数の児童が書き出した。稲尾教諭が授業で、ハンセン病のことを話したことがあるからだろう。

 水俣病についての記事を詳しく読んでキーワードを探し、記者が伝えたかったことを児童に考えてもらった。「被害者の救済」「早期全面解決」「納得のいく結果」…。ニュースの言葉に込められた思いを、児童も理解できたようだ。

 「キーワードを読み取れるだけの読む力を、皆さんが付けているということですね」と稲尾教諭。記事を読んだ感想を、200字以内でまとめてもらった。「まだ解決していないなんて」という驚きの他「新聞は読みにくいと思っていたがそうでもなかった」という、新聞全体への感想もあった。

児童の感想

修学旅行での学習の参考に大関詩織さん(11)

 メチル水銀が病気の原因だったことなどを社会の授業で覚えていて、記事から現在の苦しみが分かった。新聞には戦争のことも載っており、修学旅行での学習にも参考になった。

61年もたっているのに驚き佐々木翔太君(11)

 ずっと前に水俣病があったのは知っていたけど、61年もたっているのに驚いた。新聞はあまりよく見ていなかったけど、番組欄の下の広告に出ていたマグロがおいしそうだった。

企業の姿勢が課題と感じた白石隼一君(12)

 水俣病の発生からかなりの時間がたっても全面解決に至っていないのは、企業の姿勢が課題だと感じた。記事をよく見れば分かりにくかったところが分かり、思ったより面白かった。

苦しんでいる人、早く元気に浦こころさん(11)

 61年たってまだ苦しんでいる人が早く元気になってほしいと思った。今まで子ども新聞しか読んでいなくて、今日読んだ記事は字が小さかったけど、いろんな情報が分かった。

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