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「2分の1成人式」の意味NIEのバックナンバー

臼杵市臼杵小学校4年生

過去や未来を考える機会

10年後の自分に宛てて手紙を書く児童たち=臼杵小学校

 臼杵小学校は4年生を対象に毎年、「2分の1成人式」を実施。10歳の節目に、育ててくれたことに感謝するとともに、自身の過去、現在、未来を考える機会にしている。

 釘宮英幸教諭が4年生49人に「2分の1成人式は何のため?」と問い掛けた。「20歳まであと半分ということを確かめる」「自立を意識する」「お父さんやお母さんに感謝を伝える」などの声が上がった。

 実際に20歳を迎えた新成人は、どんな人たちなんだろう。「新聞記事を見てみましょう」と釘宮教諭。県内外の成人式の様子を伝えた、大分合同新聞1月9日付朝刊の記事を配った。

 県内では大分市や別府市だけでなく、地元臼杵市の記事も。熊本地震を機に大学を休学して地元に戻り、被災者支援を続ける熊本県西原村の女性新成人を取り上げた記事や、東日本大震災被災地の新成人が支えに感謝し、復興への思いを新たにしたことを伝える記事も読み、さまざまな立場の新成人の気持ちに触れた。

 記事中の「二十歳の誓い」からは、「支えてくれた人や古里へ恩返しをしたい、若さを生かして社会に貢献したい」という気持ちが伝わってくる。児童からは「自分よりみんなのことを心配していて優しい」「地域を盛り上げたいんだなあ」「自分はこんなふうになれるかな」などの感想が出た。

 釘宮教諭は「拝啓 10年後の自分へ」の題で、「今の自分から未来の自分に手紙を書いてみよう」と呼び掛けた。▽10歳の自分を説明▽どんな20歳の大人になりたいか▽なりたい大人になるために何を頑張るのか▽20歳の自分への励ましの言葉―の四つを段落ごとにまとめるのが条件。

 「未来の自分に呼び掛け、語り掛けるように書いてみてください。見るのは10年後のあなたです。他の誰も見ることはありません」。児童はワークシートに下書きした後、便箋に清書。シールで封をした。

 2月28日の2分の1成人式で、児童は手紙を保護者に託した。10年間保管し、20歳になったら渡してもらう約束。劇などもして、育ててくれた感謝を伝えた。

授業の狙い

20歳の自分をイメージ

釘宮 英幸教諭
「夢や希望を持って歩んでほしい」と釘宮英幸教諭

 4年生は「2分の1成人式」で自分の成長を喜ぶとともに、家族やいろんな人に感謝の気持ちを伝える。今年成人式を迎えた素晴らしい人の姿を新聞記事から知り、夢や希望を持って歩んでほしいと思い、今回の授業を企画した。
 地元臼杵市の先輩の「教師になりたい」という夢。熊本の地震の後、休学してまで古里に戻り、被災した人を元気づけている姿。東日本大震災からの復興を願い、各地で頑張る若い力。大分合同新聞に掲載された成人式の記事から「二十歳の誓い」を読み、4年生はいろんなことを感じたことだろう。
 夢に向かって頑張る姿、困っている人に手を差し伸べる優しさ、人の気持ちを受け止める心。いろんな切り口から20歳の自分をイメージし、10歳の自分から手紙を書いてもらった。国語の授業なので、四つの段落ごとに文章を組み立てて表現すること、手紙文の書き方に沿って書くことを学習の目当てにした。
 これからの10年、すてきな人や出来事と出会って感性を磨き、オンリーワンの輝きを持つ20歳になってほしい。10年後、自分宛ての手紙を笑顔で読む姿を思い浮かべている。

児童の感想

たくさん学び物知りになる渡辺優稀君(10)

 成人になった人の言葉を読んで、大人は自分がきつくても人のことを心配できて、すごい、かっこいいと思った。大人になって“人気者”になるために、いろんなことを学んで物知りになりたい。

人に優しくできる大人、憧れ河野空君(10)

 西原村の大学生の記事を読んで、かっこいいなあと思った。自分にとっての憧れの大人は、ラグビーの先生。優しい先生なので、将来は自分も人に優しくできる20歳の大人になりたい。

絵本作家目指し勉強頑張る竹内美葉さん(10)

 新聞に載っていた新成人の人たちは、周りの人や地域を気遣っていた。自分もそんな大人になりたい。将来の夢は絵本作家なので、ちゃんとなれるよう大学に行っていろんなことを勉強したい。

友達との信頼関係を深める本田虎倖君(10)

 新成人の「二十歳の誓い」は短くまとまっていて読みやすかった。自分の人生をより良くしようとしていてすごいと感じた。自分も立派な新成人になれるよう、友達との信頼関係を深めていきたい。

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