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守られる京都の景観NIEのバックナンバー

中津市三光中学校2年1組

地域の特色、角度変え理解

京都について資料を調べる2年1組の生徒たち=中津市三光中

 10月下旬の社会の時間。梶原英満先生が「今回の学習課題は『なぜ京都の町の様子は変わらないのか』です」と、京都方面への修学旅行(2~5日)を前にした2年生に、授業のテーマを投げ掛けた。

 日本の諸地域の特色を、歴史的背景と合わせて理解してもらう授業。まず現在の京都の地図と、平安時代の京都の町並みの復元模型の写真をプロジェクターで映し、町の形が長い年月を経ても変わっていないことを視覚で確認した。

 続いて生徒に、記事教材を読むよう指示。屋上広告物を全面禁止する新しい景観規制条例が京都市議会で成立したことを伝えた、大分合同新聞2007年3月14日付朝刊3面の記事と、京町家再生の様子を伝えた今年6月の京都新聞の記事を併せて読み、長めのスパンでまちづくりの動きを学んだ。

 五つのグループごとに異なる資料が入った袋が置かれた。資料の内容は図書館の蔵書や観光のガイド本、ネットからの情報などさまざま。記事と併せて多くの資料を読み込み、京都の町が変わらない根拠を探した。

 各グループが調べたテーマは▽景観政策▽外国人旅行者数▽京町家▽世界遺産▽景観条例とまちづくり―の五つ。「京都の町は看板が目立たない。同じチェーン店でも看板の色が他県と違う」「外国人観光客が年々増え、評価も上がっている」など、グループごとに調べた結果を発表した。

 発表を踏まえ「京都が変わらない理由は何なのか、考えてみてください」と梶原先生。生徒からは「日本の古くからの町並みを残すことで伝統的、歴史的建造物をたくさんの人に知ってもらいたいから」「昔の様子を少しでも知ってほしいという住民の思い」といった意見が出た。

 梶原先生は「京都をさまざまな角度から学んでもらいました。京都は変わらないところにこそ魅力があり、変えないために人々が努力し支えているということが、一つの考え方ではないかと思います」と締めくくった。

授業の狙い

歴史的背景も学習

梶原英満先生
「記事を読むことで、学習内容により親近感を持たせたい」と梶原先生

 2年生は2日から5日が、京都などへの修学旅行。京都の景観がどう守られているか、社会科で地理を学ぶ際に歴史的背景も含めて直前の授業で知っておけば、修学旅行がもっと面白くなる―。そう考え、今回の授業を企画した。

 京都の景観を守る具体的な取り組みを知るため、大分合同新聞と京都新聞の記事を活用した。記事を読むことで、学習内容により親近感を持たせる狙い。8月の第21回NIE全国大会大分大会に参加して他県の新聞関係者ともつながりができ、記事を探す際に協力してもらえた。

 記事などを踏まえたグループごとの調べ学習では、「世界遺産」「景観政策」など、グループごとに違う課題を設定。個人である程度検討してからグループで議論し、答えをまとめて全体の前で発表することで、互いに思考力、判断力、表現力を高めることも狙った。

 生徒には授業や修学旅行で学んだ京都について、より深く知ってほしい。多くの資料を自分たちで読み取っていく学習にも積極的に取り組んでもらいたい。

生徒の感想

知ってさらに行きたくなった倉迫悠華さん(13)

 屋上広告物の禁止については記事を読んで初めて知った。修学旅行に行く前に、昔から変わっていない京都のことを学び、さらに行きたくなった。

世界遺産の多さにびっくり!穴井音羽さん(14)

 京都の世界遺産の多さにびっくりした。京都への外国人観光客が増えていることもよく分かった。新聞はたまに、図書館に行って地域のニュースを見ています。

多くの人々の努力が分かった江崎蒼一郎さん(14)

 昔の京都の魅力を変えないために、多くの人々が努力していることが分かった。京都の看板が白をベースにしていることに驚いた。昔の人たちがどう京都の町を守っていたのかが知りたいと思った。

変わらない魅力が面白かった桜本航帆(かずほ)さん(14)

 京都の町が昔から変わっておらず、それが魅力になっているところが面白かった。昔と今の地図を見比べて、町の造りが全然変わっていないことに興味がわいた。

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