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戦争を伝える大切さNIEのバックナンバー

日出生中学校

「どうして今」問い直す

平和について考える生徒ら
戦争を伝える記者としての思いを語る八坂啓佑記者

 「どうして今、戦争の記憶を伝えようとしているのだろう」。授業の狙いを読み上げる生徒7人の声が教室に響いた。広島原爆の日の8月6日に開かれた平和学習。大分合同新聞夕刊連載「伝える戦争の記憶」で宇佐市の矢野悦子さん(87)から戦争体験を取材した宇佐支局の八坂啓佑記者(29)を招き、戦争を伝える記者としての思いを聞いた。
 八坂記者は取材した時のことを振り返り「笑顔でいろんな話をしてくれた。矢野さんは中学生の時、私たちのように友達と遊んでテレビを見て平和な生活を送ることはなく、掩体壕(えんたいごう)造りなど勤労奉仕に行かなければならなかった」と紹介。「取材を通して、戦争は普通の人も巻き込まれる可能性がある。無関心ではいられない。平和は自分たちの手でつくる必要があると感じた」と述べた。
 授業の終盤、ある一人の男子生徒が「八坂記者はどうして宇佐の戦争に詳しいのですか」と質問。八坂記者は「取材をする中で知るようになった。平和を伝えていこうとする人の取材をして、伝えることの大切さが分かった」と答えた。
 戦争について知り、語り継ぐことの大切さを感じた生徒たち。牧一統教諭は「みんなも新聞記事や本を読んで戦争について学び、知って、正しく伝えるということをやっていこう。学習したことを基に、戦争について家の人と話をしてみてほしい」とまとめた。

授業の狙い

体験者の思いを学ぶ

牧一統(かずもと)教諭
「戦争の記憶を伝える意義を理解させたい」と話す牧一統教諭

 宇佐市の戦争遺跡や戦争体験者の取材をしている新聞記者から、取材の様子や取材したことを伝えるということへの思いについて聞くことで、戦後70年たった今、戦争の記憶を伝えることの意義を理解させたい。生徒は4月に宇佐市内の戦跡を巡るフィールドワークをし、戦争証言の記事を読んだ。戦争体験者がどうして今、つらい思い出を伝えようとしているのかその理由まで考えさせたい。11月には修学旅行で広島市の平和記念公園を訪れる。そこで調べたことを伝える工夫を学び、伝える人の思いや願いをかみしめさせたい。

生徒の感想

なくなるように祈りたい長田輝明君(14)

 戦争の怖さや平和の大切さがあらためて分かった。矢野さんは学校を卒業できずに、勤労奉仕の作業を続けなければならなかったのがかわいそう。いろんな人がなくなる戦争はひどい。なくなるよう祈りたい。

身近な所での空襲びっくり中島彩希さん(13)

 宇佐市という身近な所で空襲を受けていたことを知り、びっくりした。今も空襲の跡が残っており、それだけ衝撃が激しかったのだろう。自分が学んだことを他の人に話し、つないでいくことの大切さを学んだ。

矢野さんの優しさがすごい江藤萌恵さん(13)

 戦争は家族や家がなくなり、助けられないのが怖い。戦争はいけないと、次の世代に伝えていくことが大切だ。矢野さんは本当は戦争の話をしたくないはずなのに、記者に優しく話したというところがすごい。

広島への修学旅行が楽しみ高口(こうぐち)梨奈さん(14)

 小学生の時に平和集会で原爆の被害を学び、折り鶴を折った。高校生になるまであと1年。勉強に頑張りたい。修学旅行で広島に行くのが楽しみ。

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