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「未来の端末」を想像NIEのバックナンバー

日本文理大学付属高校1年5組

面白いウエアラブル考案

ウエアラブル端末のアイデアを考えて付箋に書き出す生徒たち
班ごとにアイデアを発表する生徒たち

 「みんなスマートフォン(スマホ)は持っているかな?」。3月中旬、日本文理大学付属高校1年5組(2014年度)の教室。安東慎一郎教諭が尋ねると、ほとんどの生徒たちが手を挙げた。安東教諭は「うまく使えば、日頃は会えないようないろんな人とコミュニケーションが取れるよね。今日はさらに未来の端末と生活を考えたい」と続けた。
 腕時計型など身に着けるウエアラブル端末の新市場をめぐり、米アップルやソニー、韓国サムスン電子などIT(情報技術)大手の覇権争いが本格化している。そのことを伝える新聞記事を見せた。
 各社は歩数や消費カロリー、睡眠時間を記録して健康管理に役立てる機能や、その楽しみ方で競っていることを伝えており、生徒たちは幾つかの商品を紹介した動画も見た。
 「記事にある中でいいと思う品を選び、理由を教えて」と安東教諭。生徒たちから「サムスンはスマホと接続せずに通話できるのがいい」「ソニーはやっぱり日本製で信頼できる。音声でメモを残せるのもいい」といった声が上がった。
 一通り意見が出そろったところで、安東教諭は「他にどんな端末があれば生活がより良くなるか、みんなで考えてみよう。どんなアイデアでもいい」と呼び掛けた。
 生徒たちは数人ごとのグループに分かれて、思い付いた考えを次々と付箋に書き出したり、イラストを描いたりしてイメージを膨らませ、互いに意見を交わした。
 ある班は「コンタクトレンズ」に着目。さまざまな情報を見ながら学習に役立てられる点を強調し、「まばたきをすれば写真を取ることもできる」といったアイデアを発表した。
 他にも▽学習机そのものが液晶画面になっていて絵や文字を見られる▽指にかけるリング型で運動量に応じて充電できる▽帽子に位置情報が分かるGPS(衛星利用測位システム)を搭載している―といったユニークな発表もあり、盛り上がった。
 安東教諭は「みんなたくさん笑ったけど、実は(可能性として)面白い発想もいっぱいあったよね。『アップルウオッチ』だって、誰かが考えたもの。さまざまに想像をめぐらして考えを深め、みんなのアイデアを実現できるように勉強しよう」と締めくくった。

授業の狙い

発想力を高め主体的に学ぶ

安東慎一郎教諭
「未来の端末と生活を考えたい」と生徒たちに語り掛ける安東慎一郎教諭

 現在の高校生は1997年以降に生まれた、いわゆる「デジタルネーティブ世代」。ゲームやインターネット、スマートフォン、ソーシャルメディアに囲まれ情報化社会の中で育った。ほとんどの生徒がスマホを所有し生活の中で活用していて、次世代端末にも興味関心が高い。
 今回は新聞を使って、ウエアラブル端末について考えた。そして自分が考える次世代端末について、発想を整理するための技法であるブレーンストーミングやKJ法を用いてグループで考案し、プレゼンテーション、相互評価させた。
 2015年度から本校でも独立行政法人「工業所有権情報・研修館」の事業で知的財産教育(発明教育)に取り組む予定。これからも生徒が発想力を高め、主体的に学ぶ教育を実践していきたい。さらに、新聞記事を活用した教育(NIE)にも取り組みたい。

生徒の感想

自分でも作ってみたい高橋航太君(16)

 みんなに喜んでもらえる端末を自分でも作ってみたいと思った。みんなのアイデアも参考になった。コンタクトは見たものをすぐ写真に撮れて便利だし、GPSの帽子があれば迷子にならずに済むと思う。

危害を加えないものを高橋紗織さん(16)

 現代は情報社会で私たちの生活にインターネット機器は欠かせない。今は歩いたり、自転車に乗ったりの「ながらスマホ」の危険性がいわれているので、身に着けて人に危害を加えないものを作れたらいい。

アイデア勉強になった岩崎雛希(ひなき)さん(16)

 みんなからいろんなアイデアが出て、自分では考えつかなかったものもあり勉強になった。机型の端末は近未来的。教科書、ノートがいらずに環境にやさしいと感じた。こういうのが発明されたらいいと思う。

開発者のようで新鮮味泥谷(ひじや)佳佑君(16)

 いろいろと考えるのは楽しかった。まるで開発者になったようで、新鮮味があった。雨が降った日でも遠くの人と安全に会話をするのに、傘を差しながら操れる端末があれば面白いと思った。

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