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想像力膨らむ音の響きNIEのバックナンバー

別府市明星小1年2組

「もこもこ」「にょき」「ぱく」

岡崎教諭の質問に元気よく手を挙げる児童=別府市野口原の明星小

 「おうちで見たことがあるかな」。岡崎砂織教諭が1年2組の28人にゆっくりと新聞を広げてみせた。
 「記事では(県立図書館の)お薦めの本を紹介しています。この中で私が『面白そうだな』と思った本がありました。この本を使って音の響きの勉強をいっぱいしたいと思います」と話し、絵本「もこ もこもこ」を取り出した。
 擬音語と擬態語の短い言葉だけで書かれ、色鮮やかな絵も印象的な絵本。子どもも大人も自由な解釈で楽しめ、長く愛されてきたこの本が今回の教材となる。
 「2人だけに聞こえる大きさでゆっくり読んで」。早速、日頃から授業で繰り返している音読に入る。児童はペアになって交互に読み始めた。「もこ」「もこもこ」「にょき」「ぱく」「ぽろり」―。教室のあちこちにさまざまな“音”が響く。
 全ページのコピーを黒板に張り、「面白い言葉があったら教えてください」と問い掛けると、一斉に手が挙がった。
 「『もぐもぐ』という言葉は何かを食べている感じがする」と男児。「どういう言い方?」と問われると、児童らは思い思いの「もぐもぐ」を実際に表現してみる。顔を上下に動かして「もぐもぐ」する子もいる。岡崎教諭は一人一人の声に丁寧に耳を傾けて優しくうなずいた。
 「『にょきにょき』も面白い。何かが生えて大きくなってるみたい」と女児。ページが進むたびに変化する絵の色や形にも目をやりながら、想像力を膨らませていった。
 読み、味わうため、もう一度音読をする。読み終えると「『ぷう』は風船を膨らましているような音」「『つん』は食べ残した物が出てきたような…」。最初に音読をした時よりも想像力は一層膨らみ、意見は次から次へと続いた。
 最後にもう一度音読の時間を設けた。友達の意見を聞いて解釈を変え、読み方が変わった子、気持ちが揺らいでいる子、最初と読み方を変えない子―と、さまざまな姿が見えた。
 1年生には新聞を読むことが難しいため、教員を通して親しむ機会をつくっているという岡崎教諭。「新聞には役立つことがいっぱい載っています。先生は『音の響きを楽しむ』という言葉が参考になりました。みんなもおうちの人と一緒に新聞やいろんなものを読んでみてください」と締めくくった。

授業の狙い

言葉の持つリズム、体全体で感じ取る

岡崎砂織教諭
教材記事を見せる岡崎砂織教諭

 1、2年生の学習指導要領では、「語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読する」ようになっている。
 入学以来、名文や詩を声に出して読むことに繰り返し取り組んできた。今では、子どもたちが言葉の持つリズムを体全体で感じ取り、強弱をつけて楽しむようになっている。
 今回の学習では、新聞記事に紹介されている絵本「もこ もこもこ」(谷川俊太郎・作、元永定正・絵)を取り上げ、音の響きに気を付けながら読み味わってほしいと考えた。
 「もこもこ」「にょき」「ぽろり」などの擬音語・擬態語と色鮮やかで空想的な絵を、五感と想像力を膨らませながら夢中になって読んでくれることを期待している。併せて、さまざまな文章に触れることができる新聞に親しむ機会にもしたい。

児童の感想

友達と自分の読み方が違う金林倫太朗君(6)

 友達と自分の読み方や思っていることが違うと分かった。絵本の中の「ぎらぎら」「ぱちん!」の言葉が面白いと思った。何かが跳ねたり、ぱあっと明るくなるところが気持ちいい感じがした。

ゆっくり読むとより面白い橋本侑月(うづき)さん(7)

 絵本の色が変わっていくところが好き。心に残った言葉は「ぷうっ」で、風船を膨らませているよう。お母さんや保育所で読んでもらったことがある絵本だけど、ゆっくり読むと面白いところに気付いた。

「ぷうっ」のところが好き中野天緑(あきのり)君(7)

 楽しくて音が面白い絵本だと思った。「ぷうっ」のところが好きで、友達の読み方をよく聞いてみると、自分と違うなと思った。新聞は子どものページを読んだことがあり、4こま漫画が面白かった。

「!」が付いたら大きな音で古庄雅也君(7)

 「ぱちん」の後ろに「!」が付いていて、大きな音で読んだらいいと思った。初めて読んだけど、絵が変わっていくところが面白い。新聞はお父さんが読んでいるときに、一緒に写真を見たりしている。

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