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マララさんに続け!NIEのバックナンバー

中津市耶馬渓中学校1年1組

「世界変える」着想、次々と

英語の授業で手を挙げる耶馬渓中の生徒たち
「何が世界を変えられるかな」

 中津市耶馬渓中学校1年1組の教室。波多野繭教諭が、1人の少女が写った写真を示し、英語で「誰か知っていますか?」と尋ねた。生徒たちは元気よく「イエス」と返事をし、「シーイズ、マララ!」と声をそろえた。
 少女は2014年のノーベル平和賞を受賞したパキスタンのマララ・ユスフザイさん(17)だ。
 続いて波多野教諭は「One child, one teacher, one book and one pen can change the world.」と英文を板書した。 「1人の子ども、1人の先生、1冊の本、1本のペンが世界を変えることができる」。マララさんが昨年7月に国連で演説した際、世界中に報道されて有名になった一節だ。
 イスラム武装勢力の女子教育抑圧を告発したことで、12年に頭を銃撃されて一時は意識不明の重体に陥ったマララさん。暴力に屈せず、女子教育の権利を求め続ける姿が世界中の共感を生んだ。
 事前の授業で国連スピーチの映像を見ていた生徒たちに、波多野教諭は「あなたは何が世界を変えることができると思いますか?」と問い掛けた。
 「例えば」と、波多野教諭が持ち出したティッシュペーパーの箱。購入が東ティモールの子どもたちの命を救うユニセフへの寄付になると書いている。「こんなふうに何かできることがあるかな」。3人一組でアイデアを出し合った。
 話し合いを終えて、生徒の一人が「ミー!」と元気よく手を挙げ、「一人一人の意志があれば世界を変えられると思う」と発表。外国語指導助手(ALT)のレスリー・ワートンさん=米国=が「everyone’s(エブリワンズ) thoughts(ソーツ)」と英文のつづりや発音を教えた。
 「食べ物、フード!」と発表した生徒。波多野教諭が理由を尋ねると、「食べ物があれば栄養失調を防げるし、自分たちが食べ物を捨てないことも大切」と答えた。ほかにも「勉強すれば未来が広がる」「たくさんの人とコミュニケーションを取れればいい」「みんなが笑顔になれば変わる」―。次々とアイデアが生まれた。
 「答えは決まっていないね」と波多野教諭。「よく考え、自分たちができることからやってみましょう」と締めくくった。

授業の狙い

辞書使い英語で自分の意見表現

波多野繭教諭
マララさんらが写った写真を示す波多野繭教諭

 これまで3学年を通して、大分合同新聞の「週刊Let’s えいGO!」の記事を読み、内容について質問に答えたり、自らの意見を英語で表現したりする活動に取り組んできた。
 活動を通じて(1)時事問題に興味を持つ(2)内容が英語でどのように表現されているかを知る(3)自分の意見を持つ(4)班で発表し、交流することでさまざまな価値観や考え方を共有する(5)英語で言いたいことや理由を伝えようとする―といったことが以前に比べ進歩し、意欲的に活動に取り組めるようになった。
 授業ではマララさんの国連スピーチを基に、聴衆に何を訴えたかったのか、さらに自分だったら「何が」世界を変えることができるのかを考えさせたい。その上で既習、未習にかかわらず、ALTの助けや辞書を使いながら、班分けをして自分の意見を英語で表現させたい。

生徒の感想

考えることで世界身近に上家莉奈さん(13)

 マララさんが、たった1人の子ども、1本のペンでも世界を変えられると考えたのがすごい。いろんな事件があって、あまり関係ないと思っていたけど、一人一人が考えれば世界の出来事も身近になる。

募金しワクチンで命救う高倉叶汐(かなた)君(13)

日頃あまり考えないことだったけど、世界中で女性がもっと勉強できるようになるといい。僕は世界を変えられるのは募金だと思う。100円で病気のワクチンが買えて命が助かるならいいと思った。

幸せつくるみんなの笑顔山田有希さん(13)

 マララさんのことを通じて、みんなで何が世界を変えられるか、一緒に考える時間が楽しかった。私は笑顔だと思った。みんなが笑って暮らしていける世の中なら、幸せになれるからだと考えた。

温暖化、木を守って止める吉原結紀(ゆいき)君(13)

 マララさんは高校生の年齢なのにすごい。クラスメートたちも意見を持っていて、いろんなことができそうだし、自分にもできることがあると感じた。例えば、木を切り過ぎなければ温暖化を止められると思う。

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