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自然と触れ合う場所NIEのバックナンバー

杵築市山香小学校旧6年生

ジオパークの目的考える

新聞記事を使い、ジオパークについて学ぶ児童たち

 「今日の授業で勉強するのはこれです」。2月末にあった6年生(2013年度)の理科の授業。31人が見詰める黒板に、理科を担当する奥野教志教諭(46)は「ジオパーク」と書かれた紙を張り出した。
 「聞いたことがある人は?」と尋ねると、ほとんどの児童が挙手。「では、どんな所か知っている人?」と質問すると児童は「うーん…」。奥野教諭は「今日はジオパークがどんな所で、何を目的にしているのかを考えてみましょう」と課題を提示した。
 ジオパークは国内に33地域あり、県内では昨年9月、姫島と豊後大野の2カ所が初めて認定を受けた。奥野教諭は「おおいた姫島ジオパーク」を紹介する写真特集の新聞記事を掲示した。島内にある観音崎火口跡や海食洞、冷泉「拍子水」の写真をモニターに写し出して、島の雰囲気をイメージさせた。
 続いて新聞記事を配布し、記事の中から、これまで理科の時間に勉強したことと関係がある言葉をピックアップ。鉱物、火口、火山活動、天然記念物、炭酸水素、地層…と、授業などで勉強した言葉が11個も見つかり、子どもたちはジオパークを少し身近に感じたようだった。
 記事を読んだ上で「ジオパークは『○○に親しむ所』に当てはまる言葉を8班に分かれて話し合ってみよう」と奥野教諭。子どもたちは記事を手に「これは」と思ったキーワードを互いに発表し合った。班の代表者から「地球」「環境」「自然」「理科」の4種類のキーワードが出てきた。「どれが一番ふさわしいだろう」とさらに考える児童に向かって、奥野教諭は「全部いい答えですね。ジオパークはこれら四つに親しむ場所なんだと思います」とまとめた。
 インターネットに接続して全国各地のジオパークの様子も勉強した。新聞とネットから多様な情報を入手した児童に「では、ジオパークが目指すものは何でしょう」と問い掛け。児童は「地球の素晴らしさを知ってもらう」「後世に自然の良さを伝える」「環境問題の解決を考えるきっかけになる」と次々に発表した。
 自然や文化財を保護する世界遺産とジオパークの違いを、奥野教諭は「保護するだけでなく、触れ合うことが目的となっている点」と説明した。「今日の勉強を思い出しながら、ぜひ姫島を訪れ、自然に触れてみてください」

授業の狙い

環境と人間生活、関わり方を学ぶ

奥野教志(のりゆき)教諭(授業当時)
「自然環境を保全する気持ちを育んで」

 これまで子どもたちは、理科の授業で地殻変動や地層、地震、火山などダイナミックな地球の動きについて勉強してきた。今回の授業では昨年9月、日本ジオパークに認定された「おおいた姫島ジオパーク」を紹介した新聞記事を題材として取り上げる。
 30万~20万年前に始まった火山活動で形成された姫島の特徴である火口跡や、黒曜石をはじめとした珍しい鉱物について、記事や写真を使って学習する。記事の中に登場する語句の中から、これまで勉強した内容と関連する言葉を探し出し、ジオパークが果たす役割について学んでいきたい。
 授業を通して、ジオパークに対して抱いた感想や自分の考えをまとめ、人間の生活が自然環境(地球環境)とどのように関わっているのか興味、関心を持たせたい。さらに自然環境を保全する気持ちを育むことも授業の狙いとして考えている。

児童の感想

写真でイメージがわいた北野笑那(えみな)さん(12)

姫島は火山活動でできたと聞いて驚いた。新聞に載っていた写真はどれもとてもきれいで、実際にどんな所なのかイメージがわいた。県内でジオパークに認定された姫島と豊後大野のどちらにも行ってみたい。

新聞で読んだことあった芝尾侑佑君(12)

普段からスポーツとか政治に関する新聞記事は読んでいる。今回、授業で習ったジオパークのことも新聞で読んだことがあった。チャンスがあれば、全国にあるいろんなジオパークのことを勉強したい。

残し、伝えることが大切土田瑠捺さん(12)

ジオパークという名前は知っていたが、今回詳しく勉強することができた。素晴らしい自然環境を残し、伝えていくことはとても大切。そうした中で環境問題に対する関心も高まるのではないかと思う。

実際に現地を見てみたい都甲淳史君(12)

ジオパークは地球や自然環境を学び親しむ場所だということがよく分かった。理科は実験とかをして、いろんなことを新しく知ることができるので大好き。姫島には行ったことがないので、実際に現地を見てみたいと感じた。

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