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郷土の歴史を知ろうNIEのバックナンバー

臼杵市福良ヶ丘小学校6年生

ミュージアムに期待感

臼杵の歴史と文化について学ぶ児童たち
ゲストティーチャーの岡村一幸さん

 臼杵市中心部を見下ろす高台にある福良ケ丘小学校。周辺には、歴史を感じさせる街並みが色濃く残っている。「自分たちの学校がある地域の魅力って何だろう?」。6年生児童はこれまで、自分たちが暮らす町を紹介するパンフレットを作るため、国語の時間を利用して地域の歴史的な建物などを調べてきた。
 「地域の中でどんな自慢を見つけたか、班ごとに発表してください」。担任の室知花教諭(35)が呼び掛けた。臼杵城跡や三重塔が象徴的な龍原寺、学校近くの福良天満宮など身近にある歴史的な建物などについて児童が発表した。「では、そういった建物の歴史や背景を詳しく調べるにはどこに行けばいいでしょう」。室教諭の問い掛けに、子どもたちは「どこがあるかな」「図書館かな」となかなか答えが出てこない。
 「実は新聞にこんな記事が出ていました」と室教諭。臼杵の歴史を紹介する臼杵市ミュージアム(仮称)が来年4月をめどに開館することを伝える新聞を黒板に張り出した。子どもたちは「どんな施設だろう?」。疑問に答えるため、臼杵市教委の文化・文化財課主査、岡村一幸さん(40)がゲストティーチャーとして教壇に立った。
 岡村さんは、なぜ誰も見たことがない昔のことが分かるのかを解説した。「推理漫画ではいろんな証拠から犯人を見つけます。歴史も同じ。歴史を伝えるいろんな証拠から昔の出来事を解き明かすのです」
 その上で「そういった『歴史の証拠』の中から当時の書類や美術品を保存し、見てもらうのが、新しくできるミュージアムです」と説明。「そこに行けば、地域の歴史も調べられそう」と子どもたちは納得の表情を浮かべた。
 岡村さんは市内にあるさまざまな「歴史の証拠」についても紹介した。野津町にあるキリシタン墓地や、1605年ごろの豊後の様子を伝える古地図、明治時代に外国人向けの土産品として作られた昔話の本など。それらをスライドで写して時代背景などを説明し、子どもたちに臼杵に残る歴史の豊かさを伝えた。
 最後に、子どもたちは新しくできるミュージアムに「あったらいいもの」を考えて発表した。「いろんな模型」「本物の刀やよろいかぶと」「昔のファッション」「昔の人が食べてた食事とかも面白いかも」。授業を通して、歴史にますます関心を高めたようだった。

授業の狙い

文化財に触れ、臼杵に誇りを

室知花教諭
「見たり調べたりすることに対し、一層意欲を高めて」と話す室知花教諭

 6年生児童26人は社会の歴史学習に関心がある。地元の歴史や文化の知識を問う「臼杵大好き臼杵っこ検定」には4人が参加した。そのほかにも、夏休みの特別講座「校長先生のうすき歴史教室」に参加する児童がいるなど「郷土の歴史を学びたい」という意欲を持っている。
 一方、実際に歴史に触れる機会は少ない。校区内には「二王座歴史の道」や春日局の生家といった歴史に関わるさまざまな場所があるものの、実際に訪れたことがない児童もいる。
 今回、臼杵市ミュージアム(仮称)の設置を伝える新聞記事を教材とする。市教委からゲストティーチャーを招いて話を聞くことで、地域の文化財や歴史遺産を積極的に見たり調べたりすることに対し、一層意欲を高めてもらいたい。さらに、こうした授業を通して、臼杵に誇りを持つ子どもに育ってほしいと願う。

児童の感想

昔のこと知る授業大好き江口廉輔君(12)

昔のことをいろいろ知ることができる歴史の授業は大好き。今日の授業では、臼杵市にキリシタン墓地があることを初めて知って勉強になった。新しくできるミュージアムには本物の刀とかを展示してほしい。

展示品見て回るの楽しそう三浦勇吹(いぶき)君(12)

長い歴史を持つ建物がたくさんあるのが、臼杵市の魅力だと思う。新しくできるミュージアムにも、臼杵に残っている、いろんな歴史的な史料を展示してもらいたい。展示品を見て回るのは楽しそう。

新聞で身近な話題読みたい佐藤未悠さん(12)

新聞は普段あまり読んだことはないけど、実際に記事を読んでみると分かりやすかった。ミュージアムのオープンといった身近な話題も知ることができるので、これから少しずつ新聞を読んでみたい。

学校で見られぬ資料見たい姫野あゆなさん(11)

これまで博物館とか資料館とかは行ったことがなかったけど、ミュージアムは近くにできるので、ぜひ行ってみたい。学校や教科書では見ることができないような、さまざまな歴史的な史料を見てみたい。

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