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温暖化の解決策探るNIEのバックナンバー

佐伯市明治小5年生

気持ちよく住める地球に

佐伯市の明治小学校で新聞を使った授業を受ける5年生の児童

 黒板には「二酸化炭素(CO2)」の文字。明治小学校5年(11人)の総合的な学習の時間。八木章雅教諭(47)は「みんなの近くにも、いろんなCO2があるのを知っていますか」と問い掛けた。子どもたちは少し考えて「車から出てる」「空気の中にある」。
 続けて、八木教諭は「自動販売機とか、お風呂、アイスクリーム屋さんにもあるよ」とヒント。児童は「炭酸ジュース」「入浴剤の泡」「ドライアイス」と、身近な生活に“隠れている”CO2を次々と発表した。
 「いろんな所で便利に使われているけど、実は、こんな記事が新聞に載ったんです」。八木教諭は〈CO2大台超え〉〈ハワイ観測所〉の見出しが付いた紙面を児童に示した。
 記事の内容を確認するため、まずは世界地図を広げ、日本と北米大陸に挟まれた太平洋上に浮かぶハワイの場所を全員でおさらい。記事中のグラフを読み、2013年5月に、CO2濃度が400ppmを超えたことを確認した。
 大学時代にCO2濃度について研究をしていた八木教諭は「1990年ごろの当時は、330ppmくらいだった。毎朝、測定して350ppmを超えると『今日は高いな』と同級生と話していた」。それが400ppm超え。「すごい上がってるんだ」と児童は実感した様子だった。「このままCO2が増え続けると地球はどうなってしまうでしょう」。八木教諭の問いに、児童からは「地球温暖化が進む」「氷が解けてシロクマが溺れる」といった声。
 さらに読み進めると記事には〈一刻も早くCO2排出を減らさないと猛暑や暴風雨、干ばつなどの異常気象が常態化する〉。
 子どもたちは「猛暑」や「暴風雨」「干ばつ」など難しい言葉を辞書で調べて内容を確認し、温暖化の怖さを勉強。八木教諭は、観測は58年から始まっているが「車とか工場とかが登場する以前は、CO2濃度はもっと低かったといわれています」と補足した。
 そこで「CO2を増やさないためにどんなことができるか」を考えることに。CO2を排出しない太陽光や地熱、風力といった再生可能エネルギーが解決のポイントになることを学んだ。
 最後に、八木教諭が「今より便利だけど温暖化が進む地球がいい人」と尋ねると、手を挙げる児童はゼロ。「多少、不便だけどこれからも気持ちよく住める地球を残したい人」の問い掛けに、子どもたちは一斉に手を挙げた。

授業の狙い

CO2濃度の上昇、何かできることは

八木章雅教諭
「二酸化炭素濃度が上がると、地球にどんな影響があるのか知ってほしい」と話す八木教諭

 地球上の二酸化炭素(CO2)の平均濃度については、大学時代に卒業論文のテーマとして研究していた。20年以上前の当時は、濃度が上昇を続けるのか、それとも海水が吸収するなどして落ち着くのかなど、仮説や予測が分かれていた。
 今回は、当時の自身の研究を紹介するとともに、それ以降もCO2濃度が上昇していることを新聞記事で伝える。さらに、CO2濃度が上昇することで地球環境にどのような影響があるのかを学び、自分たちにできることは何かといったことも考えさせる。
 5年生の国語では、新聞の仕組みを知り、自分たちで新聞を作るという学習内容がある。社会では「情報を上手に使いこなす」ための学習で、新聞など多様なメディアについて扱う予定にしている。授業を通して、子どもたちに新聞に親しんでもらい、こうした科目の導入としての役割も果たしたい。

児童の感想

ビックリ!入浴剤にも川合紗弥香さん(10)

泡が出る入浴剤や炭酸飲料の中にもCO2が入っていると知って驚いた。新聞記事には難しい言葉や漢字もあったけど、辞書を引きながら読むと分かりやすかった。これからは少しずつ読んでみたい。

便利さばかり考えない長沢樹君(10)

生活が便利になるのは良いけど、便利さだけを考えるといけないと思う。車を走らせてもCO2が出るので、ちょっとの距離なら歩いたり、自転車を使うようにして、CO2を増やさないようにしたい。

植樹をして環境改善へ児玉啓翔(けいと)君(10)

(八木)先生が大学の時とか、もっと昔と比べるとCO2濃度の数字がすごく大きくなっていてびっくりした。将来の地球を守るため、木を植えたりして、環境を良くしていきたいと思った。

無駄な電気を使わない井上志麻さん(10)

温暖化が進むと、地球という惑星に生物がすめなくなるかもしれないので怖い。電気をつくるのにもCO2が出るので節電が必要だと思う。冷蔵庫の開け閉めなどに気を付け、無駄な電気を使わないようにしたい。

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