NIE

太陽光発電、身近にNIEのバックナンバー

臼杵小学校6年2組

電気の無駄遣いやめよう

太陽光発電について新聞を使って学ぶ児童たち
ゲストティーチャーの園田浩之さん

 「太陽光発電が急速に広まっています」。臼杵小学校6年2組(30人)の理科の授業。『再生エネ急拡大』の見出しが付いた新聞記事を児童に配り、安東憲雄教諭(42)は、そう切り出した。
 昨年7月に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が導入されて以降、メガソーラーなどが増え、今後も設置が進みそう―。教材の記事は、そうした見方を伝えたもの。
 内容をクイズ形式でおさらいした後、安東教諭は「実は皆さんの近くにも(大規模な)太陽光発電の設備ができているのを知っていますか」と問い掛け。多くの児童が「知らない」と答える中、安東教諭は「実はその設備をビデオで撮影してきました」と、現地の様子を教室のテレビ画面に映し出した。
 映像は東九州自動車道を走る車窓から撮影。緑に包まれた臼杵市久木小野の山林に突然、太陽光パネルがずらりと並んだ“発電所”が現れると、子どもたちは「オーッ」と歓声を上げた。パネルに近づいて撮影した映像が映し出されると「でっけえ」と興味津々。
 「実際にパネルの設置工事をしている人に来てもらっています」と安東教諭。省エネ機器の販売・施工の「県セキュリティセンター」(大分市)の園田浩之さん(50)をゲストティーチャーとして迎え入れた。
 園田さんは、石油や石炭、天然ガス、原子力といったさまざまな発電方法を紹介。「将来のエネルギーとして有望視されていた原子力は、福島の原発事故以降、(安全性をめぐって)厳しい目が向けられている。太陽光など再生可能エネルギーの利用はまだ少ないが、これから拡大の余地がある」と説明し、半導体を使って電気を生み出す太陽光発電の仕組みを解説した。
 節電についても触れ「限られたエネルギーを賢く使うことも大事。今、エネルギーを無駄に使うと、後世の人が困る。効率の良い電化製品を使うことや、小まめな消灯は皆さんにもできますね」と呼び掛けた。
 最後に安東教諭が「太陽光発電はなぜ広まっている?」とあらためて質問すると、子どもたちは「(太陽の光を)生かそうとして」「(自然の力を)無駄にしないため」と口々に発言。「これまでは電気を少し無駄に使っていた。これからは大切にしたい」と、家庭や学校での電気の使い方を見詰め直していた。

授業の狙い

エネルギー資源、有効利用考える

安東憲雄教諭
「新しいエネルギー観を持ってほしい」と話す安東教諭

 子どもたちはドライヤーや電気カーペットなどを家庭で使い、日常的に電気を利用している。しかし、発電の仕組みや原理まで理解しているとは言えない。電気をエネルギーとして捉え、熱や光など別のエネルギーに変換していることを理解させる。
 新聞記事やゲストティーチャーの話を手掛かりに、太陽光発電の大型施設の設置が急速に広がっている理由を子どもたちに考えさせる。自然の力を有効に活用して電気を生み出そうという試みだが、簡単に電気をつくることはできないことも学んでもらう。
 その上で環境問題に目を向け、エネルギー資源の有効利用についても考える。特に、効率的な電気の利用や節電による環境への負荷軽減の重要性を理解し、「これからの時代に即した新しいエネルギー観」を持つことを期待したい。

児童の感想

原発は危ないと感じる広戸みなみさん(11)

臼杵市内で大規模な太陽光発電が計画されていることを初めて知った。福島で原発事故があってから原発は危ないなと感じている。太陽光発電は光さえあれば発電ができるので、もっと普及するといいと思う。

電灯消すよう心掛ける匹田慎太郎君(11)

実際に臼杵市内で太陽光発電の(設備を造る)仕事をしている人に話を聞けて良い経験になった。これからは人がいない部屋の電気は消すことなどを心掛け、電気を無駄遣いしないようにしたい。

仕組みがよく分かった国吉雄心君(11)

理科が一番好きな授業。普段と違って新聞記事を使ったり、ゲストティーチャーが登場したりして楽しかった。イラストを使って説明してもらったので、太陽光発電の仕組みまでよく分かった。

新聞読んで面白かった内田葵さん(11)

電気をつくる方法がいろいろあると知ってびっくりした。普段、家では新聞を読まないけど、読んでみたら結構、面白かった。これからも興味があるニュースとかが載っていたら読んでいきたい。

このページの先頭に戻る