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「環境の守り人」探そうNIEのバックナンバー

別府市朝日小5年2組

キーワードを手掛かりに

「環境を守る人々」について学ぶ5年2組の児童たち
ずらりと張られた紙面を教材に

 「みんなが暮らす別府は住みよい街かな」。別府市朝日小学校5年2組の社会科の授業。秦(はた)潤一郎教諭(37)が問い掛けた。
 34人の児童は前回までに、住民の努力で公害から立ち直った北九州市について学習。「別府はきれいで住みやすい!」との声が教室のあちこちから上がったところで、「大分や別府にも(北九州市のように)環境を守ろうと頑張っている人がいるかもしれない。今日は新聞から探してみよう」と課題を示した。
 新聞を普段から読んでいる児童はクラスで4、5人程度。読み方が分からない人も多い。そこで秦教諭は記事の見つけ方を紹介。すべての記事には内容を端的に表した見出しが付いていることを説明し、「知りたいことに関連する単語(キーワード)を探してみるのも良いよ」とアドバイス。今回の場合、「別府市」などの地名をはじめ、「環境」「保護」「エコ」といった単語が記事を探す手掛かりになることを伝えた。
 「それではこれから空き教室に移動します。新聞記事をたくさん用意してあるので、環境を守るために頑張っている地元の人やグループを探してみよう」
 移動先の教室の壁には、秦教諭が集めた大分合同新聞の紙面がずらりと張られていた。子どもたちは記事を要約するためのシートと鉛筆を手に、室内を歩き回り、環境問題を扱った記事を探し出した。
 「こっちに載ってる!」と友達同士で教え合いながらシートを埋めていく子もいれば、1人で黙々と新聞を読み込む子も。20分間ほどで、児童全員が自分のシートを埋め終えた。
 再び教室に戻り、見つけた記事をもとに発表する。「どんな人がどんな努力をしていましたか?」
 児童たちは「リサイクルに取り組んでいる人や、協力を呼び掛けている人がいた」(2012年1月22日付朝刊『リサイクルに協力を』)、「ごみを捨てない心を持ってもらうため、率先してごみ拾いをしている人がいた」(同5月6日付朝刊『ごみ、捨てない!』)などと話した。
 「私たちの身近にも、環境を守ろうと努力してくれている人がたくさんいることが分かったね」と秦教諭。「いつまでも住みよい街であり続けるために、自分たちにできることはないか、これからも考えてみよう」と呼び掛けた。

授業の狙い

身の回りの人々の取り組みを知ろう

秦潤一郎教諭
記事の見つけ方などをアドバイスする秦潤一郎教諭

 「環境を守る人々」について学ぶ社会科の授業。教科書では、かつて公害に苦しんだ北九州市が市民の努力で被害を克服するまでの道のりや、環境保護に積極的に取り組む様子などが紹介されている。子どもたちに、一人一人の意識と地道な取り組みが地球環境を守る第一歩であることに気付かせたい。
 その上で、ここでいう個人というのは教科書で扱われるような特別な存在だけを指すのではなく、自分たちの身の回りにもたくさんいることを理解させるため、地元の大分合同新聞を資料として活用する。
 図書やパソコンを使った日頃の調べ学習では、意欲的に取り組む児童の姿が多く見受けられる。新聞を読み慣れている児童は少ないが、新聞との出合いによって、社会事象との距離を近づけるとともに、資料を読み取る力や表現能力の向上にもつなげたい。

児童の感想

「見つける作業」が面白かった丸尾流星(りゅうせい)君(11)

たくさんの記事の中から、知りたい情報を探す作業が面白かった。いろんな人が環境を守るために努力してくれていることを初めて知った。自分も無駄遣いをやめたり、ごみ拾いに参加したい。

予想以上に分かりやすかった亀井瑠莉さん(11)

新聞は文章が長くて難しいことが書かれているというイメージだったので、これまであまり読んだことはなかった。実際に読んでみると、予想以上に分かりやすかったので、もっと読んでみたいと思った。

情報量の多さが好きなところ黒木公太朗君(11)

気になった事を中心に、新聞はほぼ毎日読んでいる。情報量の多さが新聞の好きなところ。普段から読んでいるので、今回のように記事を探して内容を理解するのは得意だった。新聞を使った授業は楽しい。

ごみの分別など、確実にやりたい金光美勇(みゆ)さん(11)

環境を守るには、一人一人の力が必要だということが分かった。ごみをきちんと分別し、ペットボトルキャップの回収に協力するなど、自分にできることを確実に実行していきたいと思った。

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