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接客の心得を学ぶNIEのバックナンバー

大分商業高校3年3組

「笑顔、元気、明るさ」で販売を

新聞記事を読み、販売実習に向けて考えたことを発表する生徒たち
これが教材記事(大分合同新聞2013年5月4日付夕刊2面)

 「課題研究」を選択した3年3組の女子生徒8人は、7月下旬、全国高校総体(北部九州総体)で販売実習に取り組む。「販売に必要なことは何か?」。実習に向けた心構えを学んだ。

 「今みんなは、どんな気持ちで実習をしようと考えているのか発表してください」。担当の小幡さゆり教諭(33)が呼び掛けた。生徒たちは「お客さんに喜んでもらえるように」「みんなに笑顔になってほしい」「大分の名物を知ってもらいたい」と口々に発表。

 各自の考えを聞いた小幡教諭は「では、具体的にはどうすればいいでしょう。みんなで話し合ってみましょう」と、フリートークで意見を交わすことにした。

 「やっぱり笑顔よ」「親しみやすい明るい感じとかじゃない?」「客に合わせた声と目線。目上の人には敬語で、子どもにはしゃがんで対応するとかが必要かな」。初めての実習をあれこれ想像しながら8人は意見を出し合った。

 「先生も実際に販売の現場に立ったことはありません」と小幡教諭。そこで新聞記事を取り出し「実際に現場に立つ人はどんな考えなのか。記事を読んでみましょう」と投げ掛けた。

 27歳で就職し、百貨店の店長に抜てきされた女性を紹介する記事。支え励ましてくれた夫を亡くした経験から「いろんなものを犠牲にして働くからこそ仕事は真剣に」と説き、「(接客は)状況に瞬時に対応できる即応力が命。女性としての経験や感性は全て役立つ」とその難しさと魅力を語った内容だ。

 記事を音読し、内容を読み解いた生徒は、これまで気付かなかった現場に立つ厳しさをあらためて実感した様子。小幡教諭は「これが販売なんです」と強調した。

 生徒の気持ちにはどんな変化があったのか。8人は再び、全員で話し合い発表することに。

 「状況に瞬時に対応できるようお客さんや周囲の様子をよく見ておく必要がある」「笑顔は一瞬で作れないといけない」と『即応力』を学んだ生徒が発言した。実習で販売する地元の特産品については「自分が食べた時の感想とかをお客さんに伝えたらいいかも」と『経験や感性を生かす』ことに気付いた生徒もいた。

 8人は互いに協力することも必要だと確認。記事から学んだ接客の“心得”をかみしめ、「笑顔、元気、明るさ」を合言葉に販売実習に臨むことを決めた。

授業の狙い

全国高校総体の実習に生かして

小幡さゆり教諭
「社会の厳しさについても感じてほしい」と話す小幡さゆり教諭

 生徒が自主的に調査・研究を行う科目として「課題研究」がある。選択している生徒たちは7月下旬、全国高校総体(北部九州総体)が開かれる大分銀行ドームの特設ブースで、大分県の特産品を販売する実習を予定している。

 全国から訪れる選手や関係者に大分県の魅力を伝えるため、課題研究の授業では毎時間「来場者の立場に立った商品の選定や接客態度」について学習。商品を販売するだけでなく「心からのおもてなし」を目指し「お客さま本位の販売とは何か?」を考えている。

 今回は新聞記事を通して、実際に販売職で活躍する人の思いや考えを知り、実習への心構えを学ぶ。中には販売職への就職希望者もいる。記事中に描かれた社会の厳しさについても感じてもらいながら、将来に役立つ授業を展開したい。

生徒の感想

考えていた以上に大変猪原梨央さん(17)

 自分が考えていた以上に、販売にはいろいろ大変なことがあることが分かって勉強になった。普段はめったに新聞は読まないけど、難しい言葉を使ってない、面白い記事ならまた読んでみたいと思った。

「お客の目線」を大事に中津留沙樹さん(17)

 お客の目線を持つことが大事だと分かった。販売や接客業に就職したいと考えているので、販売実習は良い経験になると思う。お客さんに「また来たいな」と思ってもらえるような接客ができるようにしたい。

普段の生活にも役立つ河野奈央さん(17)

 女性が活躍している記事を読むのは面白かった。記事の中にあった「何かを頼まれたら喜んで引き受ける」という部分は、接客業だけじゃなく、普段の生活でも役立つなと感じた。これからの参考にしたい。

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