飛び出せ学校

地域の魅力知り、愛着さらに深く飛び出せ学校のバックナンバー

子どもたちにとって新聞の奥深さとふるさとの魅力を学ぶ良い機会になった
みんなで協力して紙面を作り上げる取り組みを通して、クラスが一つにまとまっていった

人との触れ合い、作り上げる喜び

 「新聞を知ろう、新聞を作ろう」と2003年5月にスタートした「飛び出せ学校・大分合同小学生新聞」の掲載校が、7月の宇佐市院内北部小学校で160校に達しました。16年間で3900人の児童が地域に飛び出し、取材して原稿を書き、見出しやイラストを付けて新聞にまとめる活動に取り組みました。
 新聞作りは、大分合同新聞の記者の出前授業から始まります。子どもたちは、取材の仕方や記事の書き方を学び、「どんな新聞を作るか」「誰に何の話を聞くか」を考えます。
 取材では地域の人たちの課題や思いなども深く聞き取ります。メモを取り、記事を書き、「記事の内容がひと目で分かる見出しを付けよう」とグループで話し合います。紙面レイアウトは大分合同新聞の整理記者と話し合って決めます。
 昨年度「飛び出せ学校」に取り組んだ児童307人にアンケートを取り、感想を聞いたところ、84・6%の児童が「楽しかった」、70・6%が「達成感があった」、44・1%が「地域をより良くしたい」と回答しました。このほか、「もっと地域のことが知りたくなった」「文章を短くまとめる力がついた」「新聞をまた作りたい」などの声も寄せられました。
 本年度も9校の児童が取り組んでいます。出来上がった紙面は第4土曜日の夕刊に掲載します。これからも、地域の魅力や思いが詰まった子どもたちの新聞をご覧ください。


正しく伝える苦労経験
日田市朝日小学校 山元康裕教諭

 朝日小の6年生21人は昨年、「地区の遺跡の魅力を伝えよう」と新聞作りに挑戦しました。新聞作りを通じ、子どもたちは三つの大切なことを学びました。
 一つ目は「事実を伝える大切さ」です。
 「たぶん」をなくし、正確な情報のみを集めるのは予想よりも大変でした。ネットを使えば誰もが簡単に発信者になれる今だからこそ、記者として自分の記事に責任を持つことができたのは良い経験となりました。
 二つ目は「短い文で分かりやすく伝える難しさ」です。
 特に、見出しは7~9文字で内容が分かるようにするという条件に、大いに悩みました。でも、アドバイスをもらい、意見を出し合い「ムラからクニへ育つ」という見出しができた時は本当に達成感がありました。
 三つ目は「校区の文化財への関心」です。
 実際に古墳や出土品を調査したことで、教科書の歴史は、自分たちの祖先がこの地で本当に生きていた事実とつながっているという実感が湧きました。文化財を後世に伝える活動をしている人たちの思いも知りました。
 子どもたちは、ふるさと朝日の古墳群の魅力を正しく分かりやすく伝えようと多くの苦労を経験しました。だからこそ、出来上がった紙面を見た時の喜びは大きかったです。「飛び出せ学校」の取り組みは、子どもたちにとって新聞の奥深さとふるさとの魅力を学ぶ良い機会となりました。


「聴く」「書く」力伸ばす
由布市挾間小学校 石川信太朗教諭

 挾間小の記事は「向原商店街」「城跡」「酒水」「初瀬井路」の四つでした。本校周辺はJR向之原駅や商店街、行政機関などが集まる町の中心地。6年1組32人の子どもたちと、古くから栄えた挾間の歴史について調べ、新聞作りに取り組みました。
 挾間の歴史に詳しい8人の方々に話を聞いたり、現地取材をしたりして、詳しく歴史学習をすることができました。自分たちの住む町であっても、よく知らなかったり、初めて聞いたりすることばかりで、目を輝かせて取材する子どもたちの姿がありました。
 子どもたちにとって、新聞に掲載される記事を書く作業はもちろん初めて。不安を抱えながらも、取材の仕方や記事の書き方を記者の方々に丁寧に教えていただき、イラストや見出しもグループで分担しながら協力して作り上げることができました。実際に出来上がった紙面を見せた時のうれしそうな顔、盛り上がる子どもたちの様子は忘れることができません。
 子どもたちは、たくさんの驚きや発見があった取材を楽しみながら「聴く力」をつけ、記事作りでは、どうしたら読み手に分かりやすくなるか、グループで議論しながら書き、まとめる中で「書く力」を伸ばしました。みんなで協力して紙面を作り上げる取り組みを通して、クラスが一つにまとまっていくのを感じることができました。今回の経験を心に刻み、挾間に対する愛着や誇りを深めてほしいと願っています。


動画でも紹介 

 子どもたちが新聞作りに取り組む様子は、大分合同新聞ホームページ・Gateの動画コーナーで紹介しています(http://www.oita―press.co.jp)。


 「飛び出せ学校」の問い合わせは、大分合同新聞社地域連携室へ。TEL097・538・9729。Eメールnie@oita―press.co.jp

このページの先頭に戻る