飛び出せ学校

古里の魅力、見つめ直す/10周年 103校を掲載飛び出せ学校のバックナンバー

「子どもたちに生きた学習をさせていきたい」と板井達彦先生
「今回学んだことをこれからの指導に生かしたい」と佐藤香織先生

 「新聞を知ろう、新聞記者になろう、新聞を作ろう」と2003年5月にスタートした「飛び出せ学校・大分合同小学生新聞」が来月、10周年を迎えます。これまでに掲載された学校は103校。子どもたちが学校から地域に飛び出し、取材して原稿を書き、カラフルな見出しやイラストを付けた新聞が県内の家庭に届いています。大分合同新聞社はホームページの動画サイトやNIEのコーナーでも「飛び出せ学校」を紹介し、地域の魅力、素晴らしさをテーマに新聞作りに頑張る子どもたちの姿を紙面と映像で伝えます。
 「飛び出せ学校・大分合同小学生新聞」は、主に5、6年生が地域の歴史や文化、産業、伝統行事などについて、地域の方々から学び、新聞にまとめる活動を通じて古里を見つめ直す企画です。始めてから新聞の完成まで3カ月ほどかかります。
 新聞作りは、大分合同新聞社の本社・県内支社局の取材担当記者が参加校に出向いて行う「新聞記者による導入授業」で始まります。参加校が選んだ、地域に根差したテーマについて、子どもたちは記者と一緒に学び、調べ、考えます。調べたことやインタビューした内容を原稿にまとめ、グラフや表、イラストも作成します。
 原稿が出来上がると整理担当記者が学校に出向き、見出しの付け方や紙面レイアウトの基本などについて説明します。記者のアドバイスを受けて見出しを決め、イラストなどを仕上げた後、子どもたちの希望を生かしながら新聞社で紙面を作ります。発行は月1回。第4土曜日の夕刊に掲載します。


積み重ねた知識活用
臼杵市田野小
板井達彦先生
(現・臼杵市川登小)

 私の勤務していた田野小学校は昨年度で137年の歴史に幕を閉じました。閉校を迎えた最後の年、これまでお世話になった学びやに、そして学校教育に協力、参加してくれた保護者、地域の方々に恩返しをしたい―。そんな思いで、「故郷に誇りを、母校に感謝を」のテーマの下、「飛び出せ学校」の新聞作りに全校で取り組みました。
 各学年、これまで学習してきた地域に残る文化財、特色ある風習、学校の歴史、そして1年間の行事などをテーマに新聞作りに臨みました。見学したり、調べたりしたことをまとめる活動は普段の授業の中でも行っています。しかし、記事としてまとめることは、どの児童にとっても初めてのことでした。伝えたいことを短い文で要約したり、文章の構成や効果的な見出しの言葉を考えるなど、読む人に分かりやすく伝えるにはどうすればいいのかを意識しながら取り組むことができました。新聞記事を書くという、しっかりとした目的意識を持つことで、これまで国語の時間に学習してきたことを活用することができたと思います。
 私自身、一昨年はNIE(新聞活用)の授業を経験させてもらいました。そして今回は「飛び出せ学校」の新聞作成授業。記事から情報を読み取る側と情報を伝える側、それぞれ異なる立場ではありましたが、活字を通じての学びという点では同じであり、これまで学習してきたことを活用・実践できる場として、とても効果的だと感じました。
 これからも、新聞活用など活字に触れる取り組みを重ね、子どもたちに生きた学習をさせていきたいと思います。


自信と誇り芽生える
玖珠町小田小
佐藤香織先生
(現・玖珠町森中央小)

 子どもたちは、ふるさと小田の良さを感じ、自慢にしています。地域の自慢は「お米がおいしいこと」「行事(祭り)がたくさんあること」「歴史があること」でした。ほとんどの家庭で自分の家でとれたお米を食べ、地域の行事にも積極的に参加しています。しかし、なぜお米がおいしいのか、なぜ行事がたくさんあるのかなど「良さ」の基になっているもの、歴史や由来にまでは目を向けられていませんでした。そこで今回の新聞作りは、子どもたちが地域の良さを再発見できる機会になると考えました。
 疑問を解決するため、地域に出掛けてインタビューをしたり、実際に体験したりすることで地域の方々と関わり、お米作りをしている農家の方の努力や情熱を感じることができました。また、お祭りや遺跡の歴史・由来を調べることで、今までそれを守り伝えてきた方々の思いを知ることができました。
 子どもたちは、調べた小田地区のことを、たくさんの人に知ってもらうために、分かりやすい記事を書き、絵を描くことに頑張りました。多くの方に読んでいただけたことは子どもたちの自信にもつながりました。出来上がった新聞を初めて見たときに目を輝かせた子どもたちの顔は忘れられません。
 今回の活動を通して、子どもたちは地域の人の思いを受け取り、素晴らしさや誇りを再確認し、そんな小田に住んでいる自分に誇りを持つことができました。今回学んだ取材の仕方や見出しの付け方、レイアウトのポイントなどを、私自身もこれからの指導に生かしていきたいと思います。

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