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第12回「いっしょに読もう!新聞コンクール」(中) 「周りに流されず行動」 コロナ差別、人ごとでない 奨励賞 伊東柊弥さん 日田市三隈中2年一般記事バックナンバー

「周りに流されず、自分の意思で行動したい」と語る伊東柊弥さん=日田市三隈中

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う中傷や差別を取り上げた本紙の記事(1月1日付)を題材に選んだ。「病原体のような扱いに疑問」という見出しに目を引かれた。

 記事は、大分市の病院で働く30代の女性医療従事者の体験を紹介。昨年8月に病院で感染者が出た後、濃厚接触者として扱われ、本人はもちろん家族や親戚が周囲の心ない言葉や態度に傷つき、日常を奪われていく様子を掘り下げていた。

 女性は「病原体のような扱い」と当時を振り返り、「感染症を正しく知れば、差別や偏見は防げる」と訴えていた。

(自身にも猛威迫る)

 人ごとではなかった。父親は医療従事者、母親も介護職だからだ。病原体の猛威は当時、日田市内にもじわりと迫ってきていた。「自分も差別されるかも。近くで感染者が出ても過剰に怖がらず、『その人』の身になって優しく接していこう」と心に誓った。

 記事の中では、少数意見や異論を持つ人に対して暗黙のうちに周囲と同じ行動を強制する「同調圧力」に触れていた。

 コロナ禍のやり場のない怒りが感染者に一斉に向けられるのも同じ。小学生の頃、クラスの人気者に流され、「いじめまがい」のことに関わったことを思い出した。「周りに流されず、自分の意思で行動しよう」との思いが芽生えた。

(理解して寄り添う)

 自分の中で新型コロナは、単に恨みの対象から「理解して寄り添っていくもの」になった。心の変化を書き、考えを認められたことを喜んでいる。

 「将来は相手の立場や気持ちを考えて行動できる大人になりたい」



ポイント

いっしょに読もう!新聞コンクール  

 日本新聞協会の主催で①社会への関心の広がりや課題への気付き②家族・友人とのコミュニケーション③考えを深める姿勢―などを促すのが目的。記事を読んだ感想や意見など、本年度は国内の小中高生らから計6万4513点の応募があった。

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