NIEに関する一般記事

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新聞社が発行する資料を収集する参加者=4日午後、大分市のホルトホール大分

 「第21回NIE全国大会大分大会」は初日の4日、開会式と全体会が大分市のホルトホール大分であった。言葉と新聞のつながりを語った小野正嗣・立教大学文学部教授の記念講演、授業や活動を基に教員、生徒も交えて意見を出し合ったパネルディスカッションなどがあった。高校生や大学生らも大会運営、盛り上げに活躍した。参加者は全体会を通じ、教育に新聞を活用する意義や効果、目指すべき方向性などへの理解を深めた。

小野さん「文学発想の源に」

 記念講演「言葉に触れる、言葉で触れる」で、小野さんは「一般的に『読書』と言えば本を連想するが、幼少時代の私の近くに読書をする大人はいなかった。畳に座って新聞を読む祖父母の姿があった」と振り返った。新聞の役割について「気付いていなかった社会の現実を見せてくれて、文学作家にとって発想の源にもなる。平易な言葉で最大多数に分かりやすく伝えられる。読むことの基礎的な土壌は新聞がつくっている」と話した。
 基調提案では、県NIE推進協議会長の堀泰樹・大分大学教授が「よりよい社会をつくるという目標を、NIEを介して達成してもらいたい。教育現場が組織的に取り組むことが求められている」と訴えた。
 パネルディスカッションでは、日本新聞協会の関口修司・NIEコーディネーターが、朝学習などの時間を使った「NIEタイム」の実践事例を紹介。「週に1回、ほんの15分でもいい。子どもたちに好きな紙面を切り抜かせて新聞に触れることで、楽しみながら意欲的に学ぶ力が身に付く」と唱えた。
 パネリストの大分市碩田中2年、亘鍋(わたなべ)早希さんは「授業を通して友達と意見を交わすことが楽しくなった。過去のスクラップを読み返すと、その時の自分が何に興味を持っていたかも分かる。多くの学校に広がってほしい」と呼び掛けた。
 来場した大分市城東中の河野奈緒美教諭は「全体会を通じ、NIEに大きな効果があることが分かった」。静岡県から参加した矢沢和宏中学校長は「遊ぶように楽しく取り組むことが、副次的に学力の向上にもつながるという言葉が強く印象に残った」と話していた。


▽勇壮な神楽披露/懇親会で由布高郷土芸能部

 全体会終了後、大分市内のホテルで懇親会が開かれた。約460人が参加。由布高校(由布市)の郷土芸能部の10人が「庄内神楽 貴見城」を上演。激しい動きに大歓声が湧いた。
 日本新聞協会の小島明日奈NIE委員長、県の二日市具正副知事があいさつし、大分市の久渡晃副市長の音頭で乾杯した。
 名古屋市で開かれる次回大会を主管する中日新聞社が、PRビデオを上映。同社の小出宣昭社長が「冠婚葬祭とNIEは、気合を入れてやります」と決意表明し、会を締めくくった。

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