NIEに関する一般記事

広がる・深まる・未来へつなぐ②/主権者意識を育む一般記事バックナンバー

「SSH探究国語」で新聞記事から地域の課題を調べる大分舞鶴高校の2年生

記事から地域の課題考察

 文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている大分舞鶴高校(大分市)が学校独自に設けている科目「SSH探究」。さまざまな教科で共通して必要な、科学的探究力や論理的思考力を養う。本年度、小坂吏香教諭の「SSH探究国語」で、2年生が地域の課題を新聞記事から探し、地域をより良くするための政策をグループで考えた。地域の課題を考えることは、選挙権を得る18歳を目前に、自らが社会の一員だと自覚することにもなる。
 農業を志す若者を増やすための農業体験ツアーを考えた堤寛乃さん(16)は「地域を自分で考えることで、日ごろのニュースが身近になる。起こせる行動も見えてきた」と、社会につながるチャンネルの増加を実感。若者が定住しやすいまちづくりを考えた、長屋博斗さん(16)は「7月の参院選でもどれだけ若い人に目を向けてくれているか、政策を意識して見るようになった」と、選挙への関心の高まりを口にした。
 18歳選挙権の導入に伴い、投票率を高めるべく、高校では模擬投票などが盛んに行われた。ただ、それだけでいいのか。地に足をつけた主権者意識の醸成が必要ではないか。現場の教員は試行を重ねている。
 日田高校で公民科を教える賀来宏基教諭は昨年度、簡略化したマニフェストを政党名を伏せて生徒に示し政策への意見を考えさせたり、生徒を候補者役、応援弁士役、市民役などに分けて模擬演説会をするなど授業を工夫。同校では参院選で新有権者となった約60人のうち、約8割が投票に行ったという。
 しかし「今はまだ興味・関心の段階。主権者教育を継続的に学校教育の中に位置付けなければ、単なるはやりで終わってしまう」と懸念する。「自分が社会に影響を与えられることが分かってこそ投票に参加する。社会参加の方法をもっと具体的に学ばせる必要がある」と、社会との接点を増やす必要性を強調した。

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