NIEに関する一般記事

広がる・深まる・未来へつなぐ①/教員、枠を超え交流一般記事バックナンバー

黒板に張られた新聞を見て自分の考えをまとめる児童。NIEは県内で着実に広がっている=大分市の寒田小学校

 教育に新聞を活用する取り組みの深化、普及を目指す第21回NIE全国大会大分大会(日本新聞協会主催・県教委、大分市教委共催・県NIE推進協議会、大分合同新聞社主管)は8月4、5の両日、大分市のホルトホール大分を主会場に開かれる。大会スローガンは「新聞でわくわく 社会と向き合うNIE」。大会を前に県内のNIEの歩みを振り返るとともに、深化普及のため工夫を重ねる教育現場の取り組みを紹介する。 (5回続き)

新しい形の研究組織に

 県内でNIEの推進組織「県NIE推進協議会」が設立されたのは2010年6月。全国47都道府県のうち44番目の設置で、出発は遅かった。しかし、教員らの自主研究組織「県NIE実践研究会」が12年9月に発足。研究会は月1回ほぼ欠かさず開き、NIEに取り組む人の輪を“大分方式”で今も広げている。
 大分方式の特徴は▽土曜日に自主的に“手弁当”で集まって学ぶ▽小、中、高校などの校種や教科、市町村の枠を超えて交流する▽学校現場での実践共有とワークショップを重視▽研究会を推進協議会のワーキンググループに位置付け、県教委や大分市教委といった行政や校長会などのバックアップを受けやすくした―などがある。
 教員の研究組織は多くの場合、校種別、教科別、市町村別。任意団体として活動している。研究会の位置付けを明確にすることで参加しやすい環境をつくり、新しい形の研究、交流組織になった。
 幼稚園から高校までの教員と指導主事が机を並べて学ぶ姿は、今やありふれた光景だ。
 研究会の事務局代表で、大分大会の運営委員長を務める佐藤由美子・大分市寒田小学校長は「幼稚園~高校で連続し、学びをステップアップさせるバトンがつながった」と、NIEを通じた人のつながりに手応えを感じている。
 大分大会をその後のNIE深化普及にどうつなげるか。大分大会実行委員長の堀泰樹・大分大学教育学部教授は「それっきりにならないよう、新聞活用の良さを伝えていくことや、NIEに組織的に取り組む体制をどう皆が共有するかが大事になる」と言う。
 大会で発表される先進事例を通じ「子どもたちがわくわくする授業づくりが県内に広がってほしい」と期待している。

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