NIEに関する一般記事

学校司書が教材化支援/中津市一般記事バックナンバー

校内の一角にある新聞コーナーで児童らと新聞をめくる入江美千江学校司書(後列右)と松本俊也教諭(同左)=中津市山口小学校

 教育現場で新聞を活用するNIEの実践を進めようと、中津市では学校図書館の司書が新聞記事の教材化に携わる取り組みが始まっている。学力向上のために必要とされている「問題解決型」の授業をするためには、「教科書だけでは限界があり、新聞教材が必須」と中津市教育委員会。多忙な学級担任や教科担当教員の手間を少しでも減らすことで、新聞記事を使う場面を増やすのが狙いだ。

教員と連携、記事を分類

 「あ、いじめだ」「安保、いっぱいあるよ」。同市山口小学校6年生の国語の授業。本や新聞記事を引用して随筆を書く学習で、児童が校内の一角にある新聞コーナーで新聞をめくっていた。地方紙と全国紙計4紙の新聞にはびっしりと付箋が貼られ、「いじめ」「安保」などのキーワードが書かれている。児童は付箋を頼りに、引用する記事を探した。
 付箋を貼ったのは入江美千江・学校司書(37)。「もしかしたら授業で使えるかも」との視点で紙面をめくり、児童のアンテナに引っ掛かりそうな記事をチェック。付箋紙に書く分類キーワードも自分で考える。
 同小では日常的に授業担当教員と入江司書が授業の情報を共有。入江司書が日々の新聞をスクラップし、教員のニーズに応じていつでも記事が提供できる態勢になっている。
 6年の担任松本俊也教諭(45)は「記事がすぐに教材として使える状態になっている。児童が記事を探す時間を短縮できるため、授業の狙いに応じた活動の時間をしっかり確保できる」と話す。これまで記事を使い、大相撲の横綱白鵬と児童の手形の大きさを比べたり、陸上選手ウサイン・ボルトとカバ、ラクダ、犬の走る速さを比べるような算数の授業をしたという。
 市教委は本年度、32小中学校に兼務を含め20人の司書を配置。学校司書連絡協議会を月1回開き、NIEの他、教員との連携や教育課程の研究を進めている。今後、授業観察など司書の活動をさらに充実させる考え。田辺玲子指導主事は「楽しい、やりたいという学びの原動力を引き出すのに新聞教材は有効。司書が授業改善に関わっていくことでNIEが広がる」と話している。 (渡辺美加) 

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