大分開催へ、ヒントは/NIE全国大会 秋田で始まる

全国の教育、新聞関係者ら約千人が集い新聞の教育への活用法を探る「第20回NIE全国大会秋田大会」(日本新聞協会主催)が30日、秋田市で開幕した。31日まで。来年(8月4、5日)の大会開催地となる大分県からも小中高校の教員ら21人が参加。大分大会に向け、学校現場でNIEの実践をさらに加速させるためのヒントを探った。
秋田大会のテーマは「『問い』を育てるNIE~思考を深め、発信する子どもたち~」。秋田県は全国学力・学習状況調査でトップレベルの成績を誇っており、公開授業や実践発表、シンポジウムを通してNIEとの関連についても検討を深める。初日は基調提案と記念講演、パネルディスカッションがあった。
秋田県NIE推進協議会の阿部昇会長(秋田大学教授)が「新聞と教育の緊密なかかわりは必然」とする基調提案をし、21世紀型学力を身に付け、主権者教育を進める上でのNIEの重要性を強調した。
教育評論家で法政大学教授の尾木直樹さんが「『今を生きる力』を育てる新聞~40年間にわたる新聞活用実践を通して」と題して記念講演。尾木さんが中学、高校の教壇に立っていたころから続けている新聞記事のスクラップ「書きなれ帳」の実践を紹介し、「子どもたちが自分から記事の感想を書き添えるようになる。読解力などの学力が上がってくる」と効果を示した。
パネルディスカッションでは大会テーマでもある「豊かな『問い』をどう育てるか」について、秋田県の大学教授や現場の教諭らが実践を踏まえて意見交換。教諭と新聞記者が連携して子どもたちが興味を持つ授業の組み立てを考えたり、教員や教育委員会との縦横のつながりを密にして県全体の質を高めていることを紹介した。
大分大会の運営委員長を務める大分市寒田小学校の佐藤由美子校長は「大分大会まであと1年だと気合が入った。これからは各学校の取り組みの質を高めていき、大会では大分らしさを出したい」。実践発表をする臼杵市北中学校の永松芳恵教諭は「2日目の分科会では教員や新聞記者らの総力を挙げた授業が見られる」と期待した。
夜は懇親会があり、来年の主管社として大分合同新聞社の長野景一副社長が「明日のNIEに向けてワクワクするプログラムを準備しています。弊紙創刊130周年という節目の年のNIEを意義深いものにしたい」とあいさつした。