NIEに関する一般記事

コラム「東西南北」一般記事バックナンバー

 「みんなに伝えたい記事を選び、班で交流しましょう」―。先生の呼び掛けで一斉に新聞を広げる生徒たち。先日、中津市の中津中学校で開かれた県NIEセミナーの公開授業でのひとこまだ▼興味を持った記事をスクラップした生徒たちは、まず記事の内容を漢字1字で表すことに挑戦。大分トリニータが引き分けた記事を選んだ生徒は「残念」の「残」、県内に三つの活火山があるという防災特集は「驚」、優しかった祖父の思い出をつづった投稿は「思」…といった具合だ▼授業の指導目標は「自己および他者の個性の理解と尊重」。さまざまな出来事や考え方が詰まった新聞は格好の学習材になる。選んだ理由や考えたことを伝え合った生徒たちは「人の意見をたくさん知ることができて面白かった」「班の人の話を聞いていろんなことが分かった」と感想を書いた▼ただ、気になったのは担任教諭が実施したクラスの生徒25人へのアンケート。64%に当たる16人が「普段新聞を読むことがほとんどない」と答えた。新聞のイメージも「固そう。昔の人が読むもの」「字が小さく難しい」と芳しくない。授業後の全体会では別の学校から「教職員の3人に1人が新聞を取っていない」との報告もあった▼「教室と社会をつなぐ生きた学習材」として、県内でも活用が広がりつつある新聞。だが、どうすればもっと子どもたちに日常的に親しんでもらえるのか。先生の手に取ってもらえるのか。新聞の側も変わる努力を怠ってはならないと自戒した一日だった。

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