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生活再建どう支えるかNIEのバックナンバー

中津市中津中学校2年3組

災害被災地の現状考える

記事を読み、気付いたことを付箋に書き出す生徒
災害への備えの大切さを学んだ
今井理恵教諭

 中学校の保健体育では、保健の分野で「自然災害による傷害の防止」を学ぶ項目があり、地震などの発生に対する事前の備えや、二次災害を防ぐための行動、情報収集について学ぶ。

 今回は新聞記事から災害被災地の現状を知り、自分や社会が何をすべきか考える授業。4、5人のグループごとに、福岡・大分豪雨から1カ月後の日田市の現状を伝えた大分合同新聞8月5日付朝刊1面など、複数の記事が配られた。

 「被災の影響を受けやすい人は?」と今井理恵教諭。生徒からすぐ「高齢者」「子ども」「女性」などの声が上がる。被災地の課題を問うと「プライバシーの確保」「道路の寸断で支援物資が届かない」「情報の不足」「女性のことを考えた避難所づくり」などが挙がった。

 以前の災害ではどうか。今井教諭は東日本大震災から6年半後の現地の状況について、がれき処理や公共施設の復旧は進んだ半面、防潮堤の設置や住宅の高台移転、仮設住宅居住者の復興住宅入居などが進んでいない状況を説明。「インフラ整備は進んでいるけど、個人のことは後になりがち。生活再建が一番大事」と、住民の思いを代弁した。

 避難生活についても考えた。避難所生活はプライバシーがなく、次第にストレスがたまる。一方、安全リスクを抱えて自宅に住み続けたり車中泊だと、行き届くべき支援の情報が不足しがちになる。難しい課題に生徒も頭を悩ませた。

 「いつやってくるか分からない災害。困った人のことを頭に入れて」と今井教諭。「学習してほしかったのは日頃の人権意識。誰かに優しくすることは、いつもみんなに優しくすること。日頃できないことは災害時にもできない。共助の立場になったときに役立ててほしい」と結んだ。(宗岡博之)

生徒の感想

車中泊する理由分かった徳永祐希さん(14)

 被災の際に車中泊する人が多く、避難所で過ごしたいけどいろんな理由であえて車中泊する人もいることを知った。いろいろな記事に接し、積極的にボランティアに取り組んでみたいと思った。

プライバシー確保が大切寺本奈々子さん(14)

 災害では女性や高齢者の被害が大きく、避難所運営で被災者のプライバシーを守っていくことが、今後大切になっていくと思った。新聞は週に1回くらい見るが、今回読んだ記事は教科書と違って難しかった。

高齢者や子ども守りたい伊藤志織さん(14)

 自分がもし避難所で生活する立場になったら、高齢者や子どもをちゃんと守るようにしたい。災害のニュースは起きるたびに建物の被災などをテレビで見るけど、新聞で見てあらためて大変だなと思った。

復興の進みが遅く驚いた黒沢爽次さん(13)

 避難所で女性のプライバシーが守られていないことや、東日本大震災からの復旧復興が思ったよりも進んでいないことに驚いた。新聞はいろんな見方や考え方が分かりやすく、内容が新聞によってかなり違った。

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