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記事で算数の「問題」NIEのバックナンバー

山口小学校5年生

式や図で自分の考え表現

それぞれ考えた計算を説明し合う児童たち

 「新聞にすごい記事が出てたよ」。7月上旬、中津市三光の山口小5年生の教室。担任小野次也教諭(38)が大分合同新聞に掲載されたある記事を20人の児童に見せた。ベルマーク運動で、大分市豊府小学校の集票点数が九州トップになったことを伝えている。コピーを配ると児童はすぐに読み始めた。小野教諭が「集まったのは何点?」と聞くと、すぐに「26万3866点」と返ってきた。「見出しのところに書いてたよ」と児童。「九州で何位?」「全国では何位?」と続く質問にも即答。驚いた小野教諭が「すごい速い。どこに書いてた」と尋ねると「リードに書いてる」。得意げな声が返ってきた。
 この日、新聞記事を使って学ぶのは算数。「豊府小と山口小で集まった点数を比べて、みんなに説明してもらおう」。小野教諭が授業のテーマを示した。考える問題は「豊府小のベルマークの集票点数は山口小の約何倍ですか?」。図や言葉、線分図、数直線、式など算数のツールを駆使して考え方を説明する。
 最初の5分は個人で考える時間。ノートに計算式や数直線を書いて説明を作る。その後は班になり、友達同士で考えた。「四捨五入するということ?」「数が多すぎる」「万の位で四捨五入したら?」。活発な意見交換が進む。
 多くの児童が割り算を使って説明しようとしているのに気付いた小野教諭。「『約何倍』は掛け算じゃないの? なぜ割り算にしたかツールを使って説明してみたら」とヒントを与えた。
 さらに友達と相談するが、なかなか説明がまとまらない班も。他の班の様子を見に行き、質問しながら考えを深めていく。小野教諭は何人かの児童のノートをモニターで示し、四捨五入して割り算をした計算式や、関係図を使った説明の例を紹介した。
 「では自分が作った説明を友達に教えに行って。説明がうまくいかない人は友達に聞いて作り上げてください」。教室を歩き回り、自分の考えを伝えていく児童たち。自分の頭で考えては友達と考えを交流させることを繰り返し、計算の説明を作り上げていった。
 授業の終わり、友達の説明のいい点を発表し合った。「式が分かりやすかった」「友達の式を見て自分の説明の仕方が浮かんだ」。小野教諭は「たくさん考えてもらいました。次はみんなが欲しい物を買うためにはベルマークをどれくらい集めればいいのか計算しましょう」と締めくくった。

授業の狙い

身近な題材で意欲的に学習

小野次也教諭
「新聞には算数の題材がたくさんある」と話す小野次也教諭

 言葉や図、式、関係図など算数のツールを使ってどんな計算になるのかを考えるのが今回の授業の狙い。新聞記事には数字や割合、グラフ、表など算数の題材がたくさん出ている。教科書よりも自分たちの生活により関わりが深い題材を見つけることができ、児童が意欲的に学習を進めることができる。ベルマークは山口小でも集めて学期ごとに集計している。あとどれくらい集めれば欲しい物が手に入るかなど、今後の活動に広げていける題材だ。
 表現することが苦手な児童が多かったため、授業のさまざまな場面で、自分の言葉で誰かに説明する活動を取り入れるようにしている。今回の授業でも他の班のところへ行って考えを聞き、自分の班に戻って伝える作業をした。友達から話を聞いて理解するなど勉強する楽しさを味わってほしい。

児童の感想

豊府小の集票点数に驚き神原琉世(かんばるりゅうせい)君(11)

 新聞を使った勉強は資料を見て式を書いたりするところが楽しかった。計算の説明はすぐには思い付かなかったが、友達の意見を聞いたら分かった。豊府小は26万点もベルマークを集めていてびっくりした。

関係図褒められうれしい高山(こうやま)凜花さん(10)

 国語で新聞を使ったことはあったが、算数の勉強もできるんだなと思った。関係図を使って説明したら分かりやすかったと言われてうれしかった。友達からは他のツールを使って説明できるということを学んだ。

新聞を使った授業楽しい佐々木里緒さん(10)

 新聞を使った授業は楽しかった。豊府小はすごい。あんなに集めるのは大変だったと思う。関係図の説明の仕方が分かりやすかった。私も関係図を使って説明を考えたが、友達の方がもっと詳しく書いていた。

大きな数の説明は難しい楠木優太君(10)

 関係図の仕方が難しかった。友達は関係図を使っていて計算の表し方がすごく良かった。大きな数字を説明するのは難しかった。豊府小はどうしてそんなに点数を集められたのかな。人数が多いからかな。

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